足音
仕事で帰りが遅くなったヒロシ。夜道を1人で歩いています。
ヒロシ「うううう。あたりはすっかり真っ暗だ。なんかオバケでもでてきそうな雰囲気だぞ」
夜の町に、ヒロシの足音が響きます。
ヒロシ「あれ?」
ヒロシは、自分以外の人間の足音があることに気づきました。でも、まわりには誰もいません。でも足音がします。
ヒロシ「幽霊だ! 幽霊だー!」
恐怖に駆られるヒロシ。
ルナちゃん「ヒロシさん、危ないわ! きえー!」
ヒロシ「ルナちゃん」
ルナちゃん「邪悪な気配がプンプンするの! 私にまかせて! きえー!」
持っていた数珠を放り投げると、ヒロシの周辺のアスファルトをペロペロと舐め始めるルナちゃん。しばらくすると、足音は消え去りました。
ルナちゃん「ふう、除霊完了! 危なかったわね、ヒロシさん。私が行った除霊がなければ、あと少しで発狂して一族郎党に迷惑をかけるところだったわ。でも、邪悪な霊は私が全て食べちゃったから、安心して」
ヒロシ「あ、ありがとう」
ルナちゃん「37万円でいいわ」
ヒロシ「は?」
ルナちゃん「だから、除霊代金。払えないなら、一族郎党、末代まで不幸が降りかかる呪いをかけるわよ! 体にまだら模様の斑点が大量に浮かんで、苦しみながら死んでいくの! 一族の平均寿命が20代前半とかになるの!」
ヒロシ「や、やめておくれよ」
ルナちゃん「いやならば、そこのコンビニのATMでお金を下ろしてきなさい」
ヒロシ「わ、わかったよ」
こうして37万円をルナちゃんに払ってしまったヒロシ。お金を渡した瞬間、
ルナちゃんの後ろから、ナウマン象と金歯が現れました。
3人「大成功ー!!」
ヒロシ「え? え!?」
ルナちゃん「実は今の、詐欺なの」
ナウマン象「足音は俺らのトリックさ!」
ヒロシ「えー!?」
こうしてヒロシは、入院中の愛娘・小百合ちゃんの病気治療のために貯めていたお金を、全て奪い去られたのでした……
マルぼん「許せぬ! いじめっ子キャラのナウマン象たちはまだしも、ヒロインまで詐欺に加担するとは!」
ヒロシ「くやしいよ! 僕くやしいよ!!」
マルぼん「やつらにも同じ恐怖をくれてやろう。『べとべとサンダル』。このサンダルを履いてあるけば、いつもより大きくて気色悪い足音がでる。しかも、サンダルを履いている間の姿は、他の人間には見えないんだ」
ヒロシは「べとべとサンダル」を履いて、昼夜問わず、人間のくず三人組のまわりでなぞの足音を発生させまくってノイローゼに追い込み、三人を山奥の白い病院送りにしました。
ヒロシ「いまではあの三人。空をみては『キレイ……ソラ、キレイ』とつぶやく生活を送っているそうだ。ざまぁカンカンカン! 効果は抜群だったよ。しかし、すげえ気色悪い足音がでるんだね」
マルぼん「調整したら、まるで風鈴の音色のように素晴らしい足音がでたりするんだよ。虫の鳴き声に似た足音までだせる」
ヒロシ「へえ。色々な足音を出せるんだね」
小百合ちゃん「ねえパパ。この前、最近流行りの翼の生えた人たちがドンパチやるアニメを見たんだけど、一番人気のキャラの翼、右側が大きいの。これって、若者たちに右翼的思想が蔓延している証拠じゃないかしら。あたし怖い。この国行く末が怖い」
マルぼんは、軍靴の足音までだすことができた『べとべとサンダル』の効果は絶大だと思いました。
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