小スクープ作戦
ヒロシのクラスメイトがたまたま持っていたカメラで「飛び降り自殺を図った男がビルの屋上から投身した途端、突如として飛来した大ワシに捕まって、連れ去られ我が子として育てられた瞬間」というスクープ写真を撮影。どえらい評判になりました。
後に「死ぬのは怖くない。それよりも他人が幸せになるのが怖い」という言葉を遺すほど器の小さい男であるヒロシは嫉妬嫉妬また嫉妬。部屋に戻るなりマルぼんに泣きつきます。
ヒロシ「僕もスクープ現場を撮影してちやほやされたいよ! 絶対にスクープ写真が撮れるカメラだして!」
マルぼん「それはないけど……似たようなものならある。ほら。このカメラ」
ヒロシ「いいもんあるじゃないか! ちょっと貸してみてよ。適当に撮ってみるから」
バシャッ。部屋の窓から外を撮影するヒロシ。カメラの中から写真が一枚、飛びだしてきました。
マルぼん「写真はすぐに現像されるんだ」
現像された写真には家の前を歩いていた通行人の男が写っていました。
ヒロシ「何の変哲もない通行人の写真だけど、こんなんが本当にスクープになるの」
マルぼん「なるよ。正確に言うと、近いうちになる」
ヒロシ「へ? どういうこと?」
マルぼん「このカメラの正式名称はね、『撮影した写真が近い将来必ずスクープ写真扱いされるようになるカメラ』なんだ。もうすぐ何の変哲もないこの写真がスクープ写真になるようなことが起こるはずだよ」
と、その時、何者かが突然部屋に乱入
ヒロシ「あ! さっきの通行人!」
通行人の男「い、いま、おれをこの俺を撮影したな! き、貴様もアレか! お、おれを監視するヤミの政府の手先か! い、いつも鳥を使って俺を監視しやがって! そ、その写真だな、いま撮影したの!その写真を黒幕の宇宙人に渡すつもりだろ! そんなことはさせないぞー!」
男は懐からバタフライナイフを取り出しました。
数日後。容疑者に犯行を決意させることになったその写真は、新聞の紙面を賑わし、見事なスクープ写真となりましたが、それをヒロシが知ることは永遠にないのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます