砂紡ぎの商人【完結版】

作者 詩一

そこのあなた! そうです、あなた様に申し上げているのです。

  • ★★★ Excellent!!!

(商業都市スーヴェンの商人、語る)

いらっしゃいませ。ご来店ありがとうございます。
当店へお立ち寄りいただけるとは、お目が高い。
え? たまたま目が合っただけですって?
それなら、あなた様は幸運ですね。
なにしろこちらの商品は他に類を見ない素晴らしいものですから。

前置きはいいから早く商品を見せろと?
これは失礼いたしました。
こちら、『砂紡ぎの商人』という小説でございます。
とても質の良い一級品でございますよ。

「どのような作品か知りたい」と?
かしこまりました。ご説明いたしましょう。
こちらは砂の世界を舞台にした異世界ファンタジーでございます。おや、今、お顔をしかめられましたか?

……ふむふむ。
「『異世界転生もの』や『悪役令嬢もの』はもう見飽きた! もう見たくもない!」とおっしゃるのですね。
どうぞご安心くださいませ!(大声)

こちらの『砂紡ぎの商人』は他に類を見ない、実に個性的な作品でございます。
私もこの商業都市スーヴェンで何十年も商売をしておりますが、これほどの作品はめったにお目にかかれません。

まずなによりも、世界観の深さに驚かされます。
戦闘、生物、植物、民族、宗教、商売、技術。
どれひとつをとっても丁寧に練り上げられた設定が語られ、その世界で生きる人々の息遣いまでも感じることができるのです。

ここだけの話ですが、作者は実際に異世界を旅してこの作品を書いたという噂がございまして。……ええ、それほどのリアリティがあるという話でございます。
ですから、この作品をお読みになれば、今までに見たことのない新しい世界を旅することができるとお約束いたしましょう。

なるほど。「どのような世界観なのか知りたい」とおっしゃるのですね。
では、あなた様にだけ特別にお教えいたしましょう。他の方には内緒ですよ?

この『砂紡ぎの商人』は、砂に覆われた世界の物語でございます。
そこで暮らす人々の体には紡流(ほうる)というものが流れており、この力によって砂を操ることができるそうです。私は、一種の気の流れのようなものだと認識しております。

この紡流を使うことにより、砂を掘り下げたり、砂をドーム状にして物を覆ったり、砂の中に含まれる特定の成分を抽出したり、あるいは砂を使って敵を攻撃することができるのでございます。
『砂』というありふれたモチーフをこれほど見事に使いこなしている作品はそうないでしょうね。
特に、砂を使った戦闘シーンは見事です。まるで主人公が脳内を駆け巡るかのようでございます。

さて、この物語の主人公は『紡流を無限に持つ男』でございます。
チートなのかって? ええ、ある意味そうかもしれませんね。
しかし、時にはこの特性が裏目に出ることも……おっと、これ以上は申し上げられません。私の口から聞くより、ご自身の目でご覧になる方が楽しめるはずですから。

そして面白いことに、この作品は『砂紡ぎの商人』というタイトル通り、商人たちの物語なのです。主人公は最強の戦士ともいえるチート級の強さを持つ男ですが、あくまでも商人として筋を通している。そこが面白いのです。
商人だからこそ通すべき筋。
それは、ときに戦士よりも厳しい世界なのではないかと思います。

また、登場人物たちの根底には『思想』があります。
時にはその思想によって対立し、時には誰かの思想に救われ、時には自分を赦す理由にもなり得るもの。
彼らの考え方のひとつひとつは大変興味深く、たとえその思想が偏っていたり世間の道徳から大きく違っていたとしても、きちんと筋が通っているのでどれも納得させられるものばかりです。

ふむふむ、「用語が多そうで覚えきれない」と?
そんなときは、こちらを読めばたちまち解決!

設定資料『砂紡ぎの商人』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054896787373

作中に登場する用語について実にわかりやすくまとめられています。今でしたらセットでおつけいたしますよ(にっこり)。

……おや、そんな小声でどうしました?
ふむ。「可愛い女の子は出てくるのか」と?
ご安心ください! もちろんでございます!(大声)
活発な僕っ子も、したたかですがチャーミングで憎めない少女も、聡明で大人びた女性も、芯の強い女性も登場いたします! ぜひご期待ください!

決して嘘は申し上げませんよ。
商人は信用第一でございますからね。

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