第10話 回忌新宿Ⅳ

 突如と悲鳴が下の通路から聞こえてきた。私達はすぐにその現場を見るために近くに手すりへと走った。


「なにこれ・・・」


 魔獣、大小問わずに突如と出現し、人々を襲い始めていた。魔獣付近には無残にも人の死体や一部分のみ、血で溢れていた。


「なんで、こんな所に魔獣が!?結界など張られていて、出現自体が出来ないはずじゃ・・・」

「分かりませんが、周りに見える8つの光の柱となにか意味があるかもしれません。その付近に行けば何か分かるかもしれない」

「そうね。でも、ここで一般市民を殺されるわけには・・・」


 私達は今すぐにでも飛び降りようとした時、真横でも人並みサイズの魔獣が出現した。


「いえ・・・そう簡単には行かせてくれないみたいね」


 先輩は背負っていた刀を取り出し、それを抜いた。




「急げ!!現場は新宿。1分でも早く出発せよ!!」


 とある山、山に沿って作られた巨大な施設があった。そこにヘリが無数に止まっており、黒服の男女が急ぎ準備を進めていた。次々とヘリへと乗り込み、満員になった瞬間に出発していった。


「白三原さん。出没エリアは新宿全体と先程確認されました」

「数は不明、大規模なテロと考えられます」

「魔獣は大小様々であり、今も増え続けているようです」

「分かった。確認された光の柱、あれが何らかの影響を与えているかもしれない。全隊員に伝えろ」

「「「はい」」」


 白御原と呼ばれた女性、彼女は焦っていた。つい10分前に妹連絡していた。帰りが遅くなると・・・。

 遅くなる理由は東京のどこかに世界指名手配犯が潜伏していると情報を得たからだ。特定を急いでいる時に、先手を打たれていた。


「燐音・・・無事でいろよ」


 彼女は新宿のある方へと向いていた。そしてそのままヘリへと乗車し、出発していった。




「斬っても斬っても湧いてくる・・・」

「えぇ、これじゃあ、ただの体力の消費ですね」


 魔獣は次から次へと出現している。数では圧倒的に不利な状況だった。端末では周辺にいた魔術使い達が現場へと急行していた。


「ですが、そろそろ他の皆さんも到着されると思います」

「それまでに私達でやれる所までやりましょう」

「無駄な足掻きだ。そう、無駄なことだ」

「「!?」」


 声は魔獣の後ろから聞こえてきた。もうこの通路には他の人はいない。いるのは私達だけだ。だが、魔獣は後ろから歩いてくる人へと振り向こうとしない。身動きもしなかった。


「人はやはり粛清する必要がある。だから、私は前から準備をしていた。人の忠告は聞くものだレディよ」

「さっきの神父・・・この現状はあなたが引き起こしたんですね」

「如何にも、私がこれを行った。準備に2年と費やしてしまったが、結果的にこれだけ大規模な実験が行えた。今の私は満足している」

「実験・・・無意味な人を犠牲にしてか!?」


 神父は魔獣の横へと並んだ。その表情はどこか、冷静であり、悲鳴を聞いていても何も思っていないように見えた。魔獣はなぜ、彼を襲わないのか、理由が分からなかった。

 だが、よく見ると、魔獣は今でも神父を襲うとしている。だが、足元などや首元を鎖のような物で固定されていた。その鎖は空間内から出されており、それを行っているのはあの神父だった。


「魔獣の事を知れれば、こんなのも容易く拘束が出来る。我が魔術は『縛りの鎖』、対象を身動きを封じるの特化した魔術だ」

「なるほど、それで拘束を」

「そういう事です・・・おっと、そろそろ時間ですね。私はここで退散するとしましょう」


 神父は後ろ歩きで歩き出し、そのまま手すりをまたいで飛び降りた。連絡通路から飛び降りた瞬間に出現させた鎖に乗り、遠くへと飛んでいった。魔物の拘束も解けたのか、その場にいた魔獣達は一斉に動き出した。


「白御原!!あいつは私が追うから、あの光どうにかやれるかやってみて」


 先輩は彼を追いかけるように走り出し、目の前にいた魔物の妨害を持っていた刀で斬り伏せ、空中へと飛び出しては消えていった。次に見えたときには別の場所にいた。

 空間を操る先輩はどこに移動するのかも分かっている。自身を空間で指定の場所へと飛んだのだ。それを繰り返しながら、どこかへと行った神父を追撃していった。


「とりあえず、あの光をどうにかしてみよう・・・」


 私は近くにある光の場所へと向かった。買った物、それらは全てその場に置いといた。先輩も気付いた時にはその辺に投げ捨てていた。

 私は走り、連絡通路を飛び降り、光の近くまで移動した。幸い、魔獣はそこには現れておらず、戦闘せずに1つ目の光柱の元へと来れた。


「これは・・・術符?」


 その場は光り輝いていた。壁を見ると、釘のような物に札が壁へと刺さっていた。光柱と同じ色を発していた札は、持っていた端末で魔力を図ったら、高魔力を示していた。


「釘を抜けば、効力は失うはず」


 私は釘を掴んだ。その時、持っていた手が痺れた。


「これは・・・抜いたら呪いとか寄付するタイプ系の魔具なんじゃ・・・、いや、今は気にしてる暇はないか」


 今はそんな事を気にする必要はない。今は抜く事だけを考える。

 さっき持った時に簡単に抜けるようだった。だけど、釘を持った瞬間にこれは人を殺すことも出来る魔具なのは一目瞭然だった。だから、私はそれを引き抜いた。

 釘を抜いた時、同時に札も空中に飛び出し、光とともにボロボロになって消えていった。札が消えたと同時に周りの光も消えていった。だが、抜いた釘からは私を侵食するかのように魔力が私の腕を絡むように広がろうとしていた。だが、途中でその効力は突然と消えた。鏡が割れるような音と共に弾け飛んでいった。


「・・・賭けは私の勝ち・・・ね」


 釘の効力を完全に失ったのを確認した後、それを腰にしまった。私は他の光柱の元へと走り出した。

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