第6話 魔獣討伐Ⅱ

 日本刀を抜き、左手に持っていた鞘を地面に投げ捨てた。深呼吸するために目を閉じ、ゆっくりと行った。目をゆっくりと開け、目の前の魔獣へと視線を送る。それを感じたのか、魔獣は叫び走り出す。

 私の目は突如と色を変わる。私からは魔獣がどのように行動するのか目に見えていた。そのため、魔獣の最初の攻撃に対して、刀でそれを弾き飛ばし、体を一回りし、下から上へと向けて斬り伏せた。一撃では仕留められず、叫びながら後ろへと後ずさりしていた。

 魔獣といっても生き物。魔力が集まって出現し、自覚と目的のために動く生物。目的こそ、魔獣にとっては本能なのかもしれない。

 日本刀の刃の先をその獣へと向けた。

 目の色、昔から先を見る力に長けていた。と思えた。未来予知、それはあくまで確率である。1分や10分先まではさほど変わらないと思う。だが、私の先を見る力はあまりにもに動いている。

 未来予知でも流石にそこまで正しい未来通りに進むとは限らない。あくまで予知に過ぎない。多分、それが私の持つ未来を見る力と予知の違いだ。

 どんなに行動が変わろうと、私の目もそれに続いて未来の行動を修正される。まるで全てを見通しているかのようにだ。

 多分この力は魔眼なのかもしれない。だけど、これを使う以上、この魔獣はこちらで仕留めておきたい。元の力はこんなのではなかったけど、私には十分だ。


「・・・ここで倒させてもらいます」


 私は走り出す。今の私は落ち着いていた。どこをどのように斬ればいいのかもだ。獣もそれに気付き、右手の爪で攻撃しようとする。それを刀で弾き、魔獣が体制を整える前に、刃でその体を斬り伏せた。

 その時間はわずか数秒、一時の静かな時間が流れた。固まっていた魔獣はそのまま崩れるように消えていった。

 目の色がもとに戻った私は何度も息を吐いていた。その場で座り込み、運動した後に酸素を求めるように、何度も繰り返し、落ち着かせようとして大きな息を吸おうとした。だが、


「――!!」


 心臓部分で突如と痛みだす。大きく吸おうとしていた息を痛みと同時に止め、細かく息をする。圧迫、何かが心臓付近で痛みだす。大きく吸わなければ、痛みは和らげる。

 痛みも骨が折れたや、深く傷ついたとは比べれるとそこまで痛くはない。なにかに締め付けられるような感覚だ。突如と起こり、突如と痛みは消えていく。昔からそれが何度も続いていた。

 痛みもなくなって、私は立ち上がった。後ろで戦っていた先輩の方も難なく決着をつけていた。


「そっちも終わったみたいね」


 背後にいた大きな魔獣もゆっくりとその姿が消えようとしていた。


「途中で何度も見ていたけど、なかなかの腕前ね。機転の利いた行動、今後が有望かもしれない」

「先輩には及びません。私はこんな程度の魔獣しか勝てません」


 投げ捨てていた鞘を拾い、そこに刀をしまった。鞘には紐がついており、肩に背負った。

 端末で状況を見た時、魔力濃度は平常値まで下がっていた。それ以外にも情報がいくつかあり、濃度の高い場所での討伐も終了していた。


「しかし、なぜここで突如と濃度が上がったんだろうか。それが一番の疑問って所かな」

「突如と急上昇したりしないんですか?」

「あんまり事例がない。だから、不思議なのよ。突如と濃くなる時はいつも不運な目にしかあってないし。でも、今回の魔獣はそこまで強くなくてよかったわ」

「そうなんですか」


 出現などをまとめた記録、蓄積することで色々なパターンがあるのかもしれない。今回は事例がないに等しい。もしくはこれが的に引き起こされていたって事も考えられる。

 だけど、もし人為的であるならば、その目的はなんだろうか。


「それじゃあ、今日は帰りましょうか。ここで休んでいても、周りが墓地ってのもね」

「そ、そうですね。戻りましょう」


 竹刀袋に刀を収納し、ハンドガンなど全て回収した。先輩はその隙に先へと歩いており、私は遅れる形で走って追いかけた。



「せっかく呼んだのに、捕獲させてくれないとは」


 墓地の近くには山がある。明りはなく、そこに人が立っていると気付くのは明りを照らした時ぐらいの暗さだ。

 そこに1人の男性が立っていた。本を持っており、どことなく神父服を着用していた。


「・・・まあ、よい。実験にはなった」


 右手で本を持ち、左手で紐のついた小瓶を取り出し、それを上空へと上げた。小瓶の中には半分くらいの液体が入っていた。


「・・・運が悪かったと言えば、あの魔術使い達ぐらいですね」


 空へと上げた小瓶をしまい、彼は森の奥へと振り向き歩き出した。


「・・・ふふふ、私の準備ももう少しで終わる」


 彼はそう言いながら、森の奥へと姿を消していった。彼の影からは赤い目が複数光っていた。

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