第5話 魔獣討伐Ⅰ

「はい。これが装備一式」


 事務所にて、私は奄美さんから刀と5枚ずつの御札を受け取った。それ以外にもナイフやハンドガン、それと魔術組織所属の会員証みたいなのも渡された。


「これもいるか分からないけど、何かの魔具らしいから一応君に渡しておくわ」


 小さな藁人形、それを渡された。キーホルダー化されており、魔具ではなく、何かのお土産に見えた。私はそれを腰のベルトになんとなく装着した。いつ役に立つかは分からない。使い方も分からない状況で、いつか使う日があると思い、少しカッ怖いが、ぶら下げた。

 それ以外にも端末、先輩と持っていた同機種も渡してくれた。


「一応、これは携帯のような物だから、無くさないように」

「分かりました。大事にしまっておきます」


 受け取った物をポケットに入れ、御札も渡されたフォルダーへと入れた。残りの竹刀袋、紐で蝶々結びで止めらていた。それを私は背負った。


「今夜は私は出れない。色々とここを立ち上げてからやることが多いから。今日は飛行的安全だと思うけど、気を抜かないようにね」

「分かりました」


 色々と確かめ、それを全部装備した後、後ろで待機していた先輩と一緒に現場へと向かう。午後8時頃、周りに人の気配はないただの森に囲まれた墓地だった。

 そこを歩きながら、中心の所までやってきた後、先輩は端末を取り出した。


「数値は安定、昼間とほぼ同じね」

「発生する恐れは」

「低いと思うわ。なら、簡単な講座をやりましょうか」


 先輩が背中に背負っていた竹刀袋の紐を解き、袋を取った。袋を地面へと置いた後、剣を抜いた。


「これが私が使用している剣『天竜』、少し特注品の魔具」


 剣の輝き、夜空の雲から月の光が先輩のいる場所へと差し掛かり、剣が光りだした。その光は魔力を浴びているせいなのか、一つの鏡の如く見えた。

 これが先輩の剣であり相棒。何度も素振りしたり、剣の根本を回してみたり、それを見る限りだと前から馴染むように手に持ち、何度も練習を重ねていたのかもしれない。


「どう?見た感じは」

「すごいです。手に馴染んでますね」

「幼少期から触れていたからかな。最初は木刀、今は皮膚なんて簡単に斬れちゃう刀」


 刀を触るその表情はどこか、切なく、そして冷たい表情をしていた。まるで表裏があるかのように、そんな雰囲気を漂わせていた。

 その時だった。突如と渡された端末からピピピッと音が出ていた。先輩と私は同時にそれを手に取り確認する。すると、ここの発生確率がさっきの倍は表示されていた。先輩の端末から誰からの通話が入ってくる。


「はい・・・分かりました。すぐ対処します」

「どうかされたんですか?」

「ここで突如と魔獣が湧くみたい。あなたは少し離れていて。ここからは私の出番だから」

「分かりました」


 すぐに後ろへと下がろうとした時、少し離れた前方に突如とブラックホールみたいな亜空間が出現した。そこから獣のような2足歩行の魔獣が姿を現した。私達の3倍はあるだろうその大きさは、大きな雄叫びを上げながらこちらへと視線を送っていた。


「もう出現、急いで」


 後ろへと振り向き走り出す。先輩は刀を既に取り出してたのもあり、一振りした後に前方にいる魔獣へと走り出した。墓地の入口へと走っていた私は突如と足を止めた。


「ここにも・・・」


 さっきよりも遥かに小さく、人並みサイズの2足歩行の魔獣が2体姿を現した。渡されていたナイフを取りだし、その刃を向けるが、私の手には震えがあった。

 後ろでは先輩が戦っていて、援護に来てくれる事は今の所ない。ここは私一人で対処する必要がある。

 一息を入れ、私は走り出した。それと同時に二匹の魔獣も走り出した。前にいた魔獣の爪、それをナイフで受け止めたが、力任せに後ろへと飛ばされた。尻込みしたと同時にナイフも手元から離れた。

 一瞬の迷いもなく、魔獣が爪を地面へと向けて振り下ろしてきたので、咄嗟に左へと転がって回避した。転がりを利用して体制を整え、私の後ろへと飛んだナイフへと飛び込んだ。

 魔獣はじわじわと接近しつつあり、私はハンドガンを取り出し、引き金を引いた。だが、


「・・・セーフティー!!」


 セーフティーを解除してなく、弾は出なかった。それと同時に魔獣が襲ってきて、ガードを遅れた私はハンドガンを手元から放し、背中を地面へとついた。

 そのまま、襲っくる魔物に対して持っていたナイフを喉元へと刺し込んだ。刺した時に暴れ始めたが、その度に刺し込んだ。そのまま、動かなくなり、そして消えていった。だが、もう一匹いる。ハンドガンは背後へとある。

 魔獣は今にでも襲ってくる。私はすぐに立ち上がり、ナイフを向ける。ナイフも魔具であり、強く握れば光りだす。魔具は一通りしか読んでないが、私達体内にある魔力によって切れ味も上がる。


「・・・大丈夫!?」

「えぇ、なんとか」


 後ろで先輩は余裕の表情とはいかないが、それでも相手している。サイズの違いか倒すのも一苦労というのもあるかもしれない。

 使うか、これを。いや、こんな魔物に使うとしても、うまく扱えるか心配だ。だけど、死ぬよりはマシかもしれない。

 短剣を横へと投げ捨て、背中の竹刀袋を片手に持つ。その後にその紐を解き、袋を外した。中からは鞘に入った日本刀が姿を現した。


「使うしか・・・ないか」


 私はその日本刀を持ち、右手で鞘からゆっくりと抜いた。刀に雲からちょうど顔を出した月、そこから発する光は刀の刃を輝かせた。引き抜いた刀を一振りし、感触を私は確かめた。

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