異界のジャンヌ

白宮 レン

第0話 無の領域

 永遠走り続けた。炎で焼かれ、記憶と名前を捨てたはずの私は小紫のような色合いをした空間、迷宮でずっと走っていた。逃げているのか、ただ走り回っているのか、それさえも分からない。何者かに追いかけられている気配を感じるが、それが何なのかは分からない。

 確かに私は死んだ。あそこで死ぬはずだった。なら、なぜもう一度新たな生命を得られたのか、分からない。

 ここは夢の世界。何もなく、永久的に続く迷宮の世界なんて聞いたことなどない。約2mある壁で私の背では登ることも出来ない。そんな世界を私は元の姿で走り続ける。

 ここがどこなのか、なぜ私はここを走っているのか、なぜ私は死ななければならなかったのか。それを知るすべはもうどこにもない。神の声を聞き、私は国のため、私自身の為戦い続けた。殺したくもなかった人達を殺した。

 明日を見続ける事も既に私では出来ないのか・・・。

 走り続けていた私の足は自然と止まり、空を眺めながら空洞音が流れる中で自然と目を閉じた。

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