第2話:ミドルフェイズ02
◆ Middle02/Scene Player――美裂 ◆
――クリスマス・パーティーから数日後。
ノビンスク支部のブリーフィングルームには、RZを封鎖する二組織の面々が首を揃えていた。
部屋の右半分の座席をUGNが、左半分を軍のスペツナズが占めるその中央に接着剤のように挟まれているのが、美裂を中心としたノビンスク最精鋭チームだ。
開始時間になってレーラとリディアの入室すると同時、スペツナズ隊員が敬礼して出迎える。それに答礼し、レーラは全員を見回して説明を始める。
レーラ:「さて、それでは作戦について説明する。”マインドジャマー”のことは、皆知っているわね」
”マインドジャマー”――RZ中層以降へ進入しようとする生物に対して発生する、極めて強力な幻覚による精神干渉。その効力は、長時間干渉を受けたオーヴァードをジャーム化させてしまうほどだ。このため、UGNも軍もRZの中層以降を調査することができないでいる。
レーラ:「今回の作戦目標は、マインドジャマーそのもの。アールラボの報告によれば、マインドジャマーには発信源が存在すると推量される。だからそれを破壊、もしくは無力化する。ここまでは良いわね?」
イワン:「はい」
アンゲリーナ:「はっ、問題ありません」
マリアンナ:「ええ」
美裂:「大丈夫です」
異口同音に肯定する。それに頷き、レーラが説明を続ける。
レーラ:「問題は、その発信源の特定方法ね。これには危険が伴う。戦闘になる可能性が極めて高い」
マインドジャマー発信源特定のために、今回はRZ内に機材を持ち込み、様々なアプローチを複合的に実施する運びになる、と彼女は解説する。
その中には、オーヴァードをデバイサーとする、指向性レネゲイド波の発振器も含まれている。マインドジャマーには、レネゲイド波の性質もあるので、波同士を干渉させて発信源を特定する――という仕組みらしい。
しかし、それは《ワーディング》のように、オーヴァードやジャームに自らの位置を教えてしまう。
さらに発信源の特定に時間を要するため、結果が出るまで機材とデバイサーをジャームから守る必要があるのだ。
マリアンナ:「いつも通り、体を張った仕事になりそうね」
レーラ:「マインドジャマーの発信源を特定したら、まずは戦術ミサイルや爆撃による攻撃を検討。しかし、位置的な要因などで効果が薄いと判断されたら――」
リディアが、レーラの前にある机上にヘルメットを置く。
レーラ:「私が開発した精神防護ヘルメットを着用して、美裂たち最精鋭の少数チームが発信源へ突入。無力化する」
リディア:「この精神防護ヘルメットは高価で数が少ないので、着用するのはノビンスク支部の精鋭オーヴァードと、後詰として控えた軍の救護部隊のみとなります」
レーラ:「つまり最悪の場合には――武蔵、マリアンナ、アンゲリーナ、イワンの四人でマインドジャマー攻略に挑むことになる。わかってるわね?」
美裂:「私たちがこの攻略の要ってわけですね」
マリアンナ:「主力だからね。ま、それが妥当でしょう」
イワン:「私は、お手伝いしか出来ませんがね」(苦笑)
レーラ:「RZでは通信が不安定だから、現場の裁量は武蔵に一任する。その間、私は支部で指揮を執るわ。以上、何か質問は?」
美裂:「私からはありません。支部をよろしくお願いします」
アンゲリーナ:「こちらも、特にはありません。全力を尽くします」
マリアンナ:「なし。私は前線で上の命令に従うだけよ」
「――よろしい。以降、当作戦を『バグラチオン作戦』と呼称する」
壇上で、レーラが高らかに宣言する。
バグラチオン作戦――かつて「大祖国戦争」終盤の1944年に実施されたNSドイツへの大規模反攻作戦と同じ名前。
それだけで、この作戦にかけられた意気込みが感じられるというものだ……。
* * *
GM:はい、GMです。
イワン:お世話になってます。
GM:今回は味方NPCと共同で作戦を行うよ。そして次のミドル戦闘シーンまでに、1人2回まで購入判定もしくは【味方ユニット増強表】が使用可能になる。
※当リプレイでは【味方ユニット増強表】はページの最下部に掲載しています。
GM:最初から使用できる味方NPCは[一般部隊]×2と、[スペツナズ]×1。だけどアンゲリーナがRHOを公開済みなので、軍の協力を得て[戦車]×1をおまけにつけよう!
アンゲリーナ:やったわ。
美裂:今なら戦車が一台無料!
マリアンナ:ストラテジーゲームみたいになってきたわね。
GM:また、レーラの助力で購入判定もしくは【味方ユニット増強表】の判定が1回だけ自動成功になる。この効果は手番を消費せず、宣言だけで発揮する。
――以上、質問があれば適宜聞いてくれ。シーンを切って、準備シーンに入る。
一同:はーい。
こうして次のシーンは、プレイヤー間で相談を行い、丸ごと準備に費やされることになった。
イワンが[UGN支援班]の獲得を狙って《生き字引》を使うも2回とも失敗し、「ハイクソー(ぽいっ)」と思わずピピックなリアクションをした一幕があったりしたものの――
全体では[傭兵][土嚢][82mmモーター]の獲得に成功し、マリアンナ用にアルティメイド服(残念ながら、見た目は普通の黒いコートということになった)を購入して、戦いへの布陣は整えられた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【味方ユニット増強表】
▼[
HP:20/命中達成値:0/攻撃力:0
特殊:①攻撃できない/②HPが続く限り同じエンゲージ内のPCをカバーリングする
▼[傭兵] <調達>難易度8 説明:対オーヴァード戦の経験を持つ傭兵部隊。
HP:30/命中達成値:20/攻撃力:9
特殊:なし
▼[82mmモーター] <調達>難易度10 説明:82mm自動迫撃砲を使用する砲兵。
HP:10/命中達成値:10/攻撃力:15
特殊:常に攻撃の対象が「範囲」
▼[UGN支援班] <情報:UGN>難易度12 説明:UGNのサポート部隊。
HP:30/命中達成値:0/攻撃力:0
特殊:①攻撃できない/②HPが続く限り同じエンゲージ内のPCをカバーリングする/③1ラウンドに1回、《妖精の手》を使用できる
▼[航空支援] <交渉>難易度14 説明:Su-24戦闘爆撃機による航空支援。
HP:-/命中達成値:30/攻撃力:20
特殊:①サブフィールドにしか配置できない/②攻撃の対象がシーン(選択)/③一度攻撃すると、退場する
▼[戦車] <調達>難易度16 説明:T-90戦車を投入する。
HP:-/命中達成値:30/攻撃力:15
特殊:無敵
【初期ユニット】
▼[一般部隊] 説明:UGNや軍の一般的な部隊。
HP:30/命中達成値:20/攻撃力:9
特殊:なし
▼[スペツナズ] 説明:軍の特殊部隊。全員オーヴァード。
HP:50/命中達成値:40/攻撃力:20
特殊:なし
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます