変人軍人の花嫁(仮が抜けました)

第1話


シフォニア王国第2騎士団師団長

ランスロット・リズ・ド・クレメンス

泣く子もだまる"変人軍人"の異名を持つ。


彼は最近一族祈願の婚約を発表した。

婚約式を終え、結婚式は一年後。

その間、婚約者はクレメンス家の屋敷で生活し結婚式に向けて準備をする事になっていた。



変人軍人ランスロットの婚約者は、名をエレーナ・ラド・ソフィアという。

ソフィア家の令嬢だが、成人しても社交界にほとんど出て来ることは無かった。そのため、今だに彼女は謎に包まれている。

身内と限られた人が参列した小規模な婚約式ではあったが、そこでも彼女の事は多く語られていない。

ただ一つあるとすれば、ソフィア家当主ダダイの後妻とその娘が最近領地の端へ引っ込んだという話くらいだ。



しかし、婚約式に参列した人々は口々に言うのだ。

「あんなに優しい顔をするクレメンス殿を見たのは初めてだ」

「あのような顔をさせるソフィア令嬢はきっと素晴らしい人柄だろう」

「あのような仲睦まじい2人を見られたのはありがたい」と。



クレメンス家とソフィア家の婚約話は瞬く間に国中と一部の隣国へ広がった。

「変人軍人が骨抜き軍人になるのも近い」なんて冗談も交わりながら。


そして、2人の結婚式をみな心待ちにするのだった。


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