第50話 2019・10・11(金)台風19号襲来!

 いや、そんなにことが深刻とは、思わなかったのよ。

 TVをつけっぱなしにしてたら、いつだったかの15号が最大だったっていう。

 それを上回る台風かもしれないそうだ、19号って。


 動画が紹介されていたが、よく屋根がふっとんだり、トラクターがひっくり返ったりするところをじっくりと観察してられたよなと思った。

 ガラス窓を突き破ってくる傘の実験がすごくこわかった。

 そんなことが、実際にあるのかと疑う。


 昨日の時点で、今日のうちに備えるようにニュースは言っていた。

 だから、母は仕事帰りに食料品と電池をごっそり買ってきた。

 懐中電灯は祖母のところ、ラジオはわたくしのところにある。


 お店はどうだったかと、母が話してくれたのだが、パンの棚が菓子パンがコロコロあるだけで、ほとんど売り切れ状態だったらしい。

 TVでも備蓄の棚がからっぽの状態で映し出されていた。

 ブルーシートと土嚢でふさがれた、店のシャッターや、段ボールなどで補強されたガラス窓。


 夕飯後にはもう、避難勧告がどうとか、避難所はどこそこに設けられたとか、言っていた。

 神奈川は特に被害予想が高い。

 dボタンで母が、地元の避難所をチェックしていた。


 うーん。

 言いたくないけれども、うちの自治体はなぜか各世帯が孤立状態だ。

 地震の折には、自宅が壊滅したのでないかぎり、避難してくるなと言い渡されている。


 自治会費、払っているのに、自治会には会員が三日間たべてゆけるだけの備蓄はない、とはっきり言っていた。

 おいおい。

 じゃあ、台風被害はどうするの?


 どうするんだろうねえ。

 今回見てればわかりそうだ。

 とにかく、今夜は雨戸を締め切ったから、外の様子はもはやわからない。


 明日もがっちり、ドアも窓もロックして、一家中、表には出ない。

 なにがあるか、わからないから。

 でも、明日何が起こるかは、見ておきたい気もする……。


 だめだって言われるな、きっと。

 TVで我慢しよう。

 停電にならなければ。


 今夜のうちに、お風呂も入って。

 牛乳ものんで、デッキに電池をいれておこう。

 TVはつけっぱなしに、部屋の電気もつけっぱなしにしておこうかな。


 明日何が起こるのか、わからないから……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る