全編

 この世界は“ダイスの出目でめ”がすべてである。

 より大きい目を出したものが、より上に立つ。


 めぐり転人てんとは、そんなダイスの目に、ことごとく嫌われていた。

 いつでもどこでも“一”しか出せず、どんな相手にも負け続ける。


 だから転人は、天性の『負け犬DOG』と呼ばれるようになった。



 転人は、夕闇ゆうやみせまる道で、喝采かっさい三儀さんぎという少女に出会う。

 三儀は、転人の妹である廻巻菜まきなを殺した、喝采白主はくしゅの娘だった。


 転人は、そんな三儀から“世界をひっくり返せる”ダイスをたくされ、「ダイスダウンで父を倒してくれ」と頼まれる。



 ダイスダウンとは、ダイスの出目勝負のことである。

 出目の大きいほうが勝者となり、勝者は敗者へ、“命令下しディレクティング”として、命令を下すことができる。

 また“役目負いキャスティング”での闘いも目玉であり、ダイスを様々なものへと変身させ、様々な超常ちょうじょう現象げんしょうを起こし、闘い合うのである。



 転人は、最愛の妹を取り戻すため、三儀の願いを受け入れて、白主と対峙たいじする。

 しかし、かえちにあい、白主の手で闇へとおとされてしまう。


 闇にとらわれた転人は、無気力になってしまうが、三儀のおかげで目が覚める。

 それにより転人は、妹とは違う“大切なもの”を意識し始めていく。



 転人は、三儀とともに再び闘いを始めるが、そのさなかで三儀をかばい、白主のもとへと連れ去られてしまう。



 三儀はひとりで白主と闘うが、白主をあやつる諸悪しょあく根源こんげん、ダイス『DARKダーク』に敗れてしまう。



 三儀の最後の抵抗によって助け出された転人だったが、本当に“大切なもの”を救い出すため、自らの意志で『DARK』へと挑む。


 転人は、『DARK』に取り込まれた三儀を元に戻すため、“世界をひっくり返し”、自らを犠牲にして三儀を取り戻す。

 そして、『DARK』を自らに取りこんだまま、世界から消えていった。



 喝采三儀は、願いを叶えることはできたが、大切な人を失い、悲しみにくれていた。


 そんな三儀は、夕闇せまる道で、廻転人と再び、出会うのだった。

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