3章. 魔法実戦実習編

72.創世記


始まりは光なり。

光は凝り塊となりし、やがて思考を持つ存在とならん。

汝ら、それを光の主と呼ぶ。

強すぎる光の影で、生まれし闇。

また闇から生まれし光を、汝ら月の君と呼ぶ。

美しき月の君に焦がれし、光の主。

なれど二君は合間見えること叶わず、嘆く光の主は月の君を己の元へ呼び寄せるため、再び世界を光で満ちさせた。

それを留めし闇の王は、光と相いれぬ種族を哀れと思い、魔族と魔獣に魔界を与えん。

やがて月をめぐり光と闇は争う。

光の主はその身を模したリュミナール種族を作り、魔獣と闘う奇跡の術たる魔法を授ける。

そして僕たる魔法の番人、四匹の獣を地上に遣わす。


一匹の獣は、サエウム。長い尾を持つ海の王。

一匹の獣は、アロガンス。激しい炎を吐く、地中の王。

一匹の獣は、テネクス。鋭い爪を持つ大地の王。

一匹の獣は、アウダクス。大いなる翼を持つ空の王。


かくして、闇の王の軍勢は魔界に撤退す。

光の主は東の神、月の君は西の主となり、聖獣である四王は地上を治め、魔界の封印と成す。


              『国教天聞録 創世記第一章』 王宮図書室所蔵



 

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