第7話 ノアの語り1

「俺は、しがない人形の作り手だった。

「なに、動くようなものじゃなく普通に飾るやつだ。

「糸を使わなきゃ動かない、足も心も持たぬ人形だ。

「自分で作った人形には、やはり愛着がわく。オーキスならわかるだろう?

「そう、その人形と同じように私の作った人形も一つ一つ宝物なのだ。

「真面目な姿のままでは置いておけなくなり、服を着せようと思った。

「なかなかピンと来るものがなくてね。この町の服屋は全部当たったよ。

「最後の店が、そして僕が選んだ店があそこに見える小さな建物だよ。

「あそこは、1人の女性が経営していたんだ。

「その人の作る服は、人形に命を吹き込んだようだった。

「それから彼女に毎回服を作ってもらうことにしたんだ。

「そうしていくうちに、なんでも話せる仲になった。

「そんな幸せが崩れたのは、つい一週間前だよ。

「あいつのせいで……」


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