稲妻マネージャーと悠然ノベリストガール ~マイペース+ワケあり女子高生に小説を書かせる7つのプロセス~

作者 沐川 九馬

75

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★★★ Excellent!!!

続きが読みたくて読みたくてたまらないのに、作者自身が遅筆なため、いつまでも続編が出ないで歯噛みする……読書家ならば誰しも、一本二本はそういう経験があるのではなかろうか。単に読むスピードが早すぎて、作品を待ちきれないだけ、というパターンもあるが、とかく遅筆というのは度し難いものである。
しかし遅筆な人間にも、それはそれで様々な理由や事情があり、単にサボっているわけでもないし、おいそれと執筆を強制できるものでもない。

ではどうするか?
工程管理(マネジメント)である。

という所から関わりと持つことになった社会人・稲妻(26歳)と、いまだ知られざる小説の才を持つ女子高生・江風つくしの二人。つくしの創作に対する熱意に、稲妻はかつての自分がいだいた情熱を思い出し、やがて感化されるが……と後半はしっかり恋愛ドラマへ。だが、そこは女子高生と社会人である。世間的にそんな……軽々しくつきあえるわけないでしょうが! じゃあどうなるかといえば、それはぜひ実際にお読みいただきたい。

とにかく冒頭のつかみが素晴らしいので、ここは強烈に推したいポイント。
創作そのもののコツではなく、あくまで「マネジメント」なので、スケジュールの立て方については、書き手として参考になる部分も多いでしょう。私は非常に耳が痛い思いをしましたが……。

創作者と、それを支援するマネージャー。創作が己の内面から出るものである以上、それに関わるものはおのずと相手の深いところまで関わることもしばしば。彼と彼女の関係が今後どうなるか……できれば、その未来は明るいものであってほしいものです。

★★★ Excellent!!!

主人公がヒロインに向かって「続きを読ませてくれ――!」と懇願する物語に対して、読者が「続きを読ませてくれ――!」と叫んでしまう。
ヒロインの小説が文化祭の部誌に載っているものだから主人公が続きを読めるかわからないように、この小説は連載開始直後で、読者が続きが読めるどうかもわからない。より一層主人公と読者の心境が重なってしまう。
作中の小説を受けて主人公が言ったのと全く同じ言葉を、全く同じ心境を、読者がこの物語に対して抱えてしまう。
入れ子になっている構造があまりにも美しく、気付けばこうしてレビューを書いていました。
すごい。