迷い猫ならぬ迷い人・2

彼女を僕のお気に入りであり、

特等席のこげ茶色のソファーに座ることを勧めたのだが

-ここがいいかな。

そう呟くと、ソファーに寄りかかりながら部屋の角の隅で

悠々とあぐらをかきながら座っている姿は堂々としていて

むしろ、この突然の出来事に僕の方が怖気づいていた。


「コーヒーいれたけれど、ブラックでいいかい?」

「うん、ありがとう」

「熱いから気を付けて持って」


マグカップを手渡す瞬間に触れた彼女の指先は驚くほどに冷たく、

一体どれほどの時間を玄関先で過ごしたのだろうか。

そもそも、何故僕の家の玄関先に居たのだろう。

訊きたいことは沢山あるのに

何て言葉にしたらいいのか解らずに戸惑っていた。


彼女の座らない空席になったソファーに座り

音を立てないようにコーヒーをひとくち飲むと

横目で少しずつコーヒーを口にする彼女を観察する


最近の女性の年齢はいまいち分からないが

僕よりもずっと若いことは確かなことだろう。


清潔感のあるほんの少し明るい茶色に染めた

肩と腰の間くらいまであるまっすぐな髪の毛。

瞳も丸く大きくて、

化粧をしていなくても透明感のある肌。


白のパーカーに黒いパンツといった

ラフな格好なのに、何て言えばいいのだろう

存在感が半端ない。

僕は、この得体の知らない彼女に見惚れている

自分がいることに気付き、それを隠すように言葉を発した


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

空ヲ泳グ魚 海月 @asahi2342

★で称える ヘルプ

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ