第12話 最強の最強カップル
ep12-1 第12話 最強の最強カップル
国王謁見の間になだれ込んだ2人と1匹は、駆け込みながら状況を確認する。
謁見の間の中央には魔皇帝ベルモントと魔王ガルフストリーム。2人の足元には発動しつつある魔力回路。それを取り囲む4人の魔王たち。
「ツガルはどこ?」
「王座の横だ、私が行こう! トウッ!」
全身甲冑に身を包んだマミヤが飛び出した。中央の魔力回路を飛び越えるように跳躍する。
「ええい、邪魔者め! ヴォルティーチェ、撃ち落とせ!」
魔皇帝の命令に従い、魔王ヴォルティーチェの身体を奪った魔導兵が手のひらから光の矢を放つ。
「マミヤッ!?」
ソニアが悲鳴を上げる。
宙に舞ったマミヤの身体は何本もの光の矢に貫かれ、足も腕も首も千切れ飛んで床に落ちた。
カラン……
乾いた音が床に響く。
中身のない鎧だけが落ちて転がっていた。
「何っ!?」
魔皇帝は目を丸くして、落ちた鎧を呆然と見つめる。
その背後から高笑いが響いた。マミヤだ。いつの間にか魔王たちの横をすり抜けてツガルが捕らえられた張り付け台の横に立っていた。甲冑を脱ぎ捨てて、全身にぴったりと貼り付くようなブルーメタリックのスーツ姿になっていた。
「ハッハッハッ! 速すぎて見えなかったかな? 魔王の力を奪ったとしても、戦闘経験は一般兵並みということかね?」
マミヤは携えた片手剣でツガルの拘束を解く。自由になったツガルは息をつく間もなく部屋の中央の魔力回路に向かって駆け出した。
「バカめ、魔力回路はもう発動しておる! 誰にも止める事などできぬわ! ふはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははゥアッ!?」
ドゴッ
ツガルに気を取られていた魔皇帝は、真後ろから飛び込んできたソニアに突き飛ばされて真横に吹っ飛んだ。
全く同じタイミングで、ツガルは魔王ガルフストリームを押し出していた。
ツガルは魔皇帝の企みを聞き、何とか阻止しようと思った。そして自分の身を呈して魔王ガルフストリームの身代わりになろうとした。
ソニアはかつて王宮騎士であった頃からの持ち前の正義感でツガルの意思を直感的に感じとり、騒動の原因である魔皇帝ベルモントを突き飛ばした。
その結果、入れ替わりの魔力回路にはツガルとソニアだけが取り残された。
「おのれぇ貴様らぁ! おいっ、魔力回路を止めろ!」
「む、無理です! 既に魔力を注ぎこんだ後ですので……」
床でもがく魔皇帝を周囲の魔王が取り囲んで起き上がらせようとする。
その目の前で光の柱が魔力回路から立ち上り、中にいた2人を包み込んだ。
バシュゥゥゥゥゥ!
「ソニアーーーーッ!」
「……ッ、ツガル!!」
激しい光の奔流の中、ふたりは互いに手を伸ばし、そして……。
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