ep10-8
「ツガル、ツガル! ねぇねぇ早く部屋に戻りましょう? お夕飯まであと2時間はありますわよ」
ぐいぐい。
館の廊下を、ツガルの手を引きながらソニアが急くように進む。
ツガルの顔を振り返りながら表情を弛ませ、背中に光を灯しながら。
「おいおい、ソニア。そんなに慌てるなって。まったく、一度味をしめたら随分気に入っちまったみたいだな」
ツガルもソニアから積極的に求められてまんざらでもない様子だ。
「もう、ツガルのいじわる。わたくしをこんな風にしたのは貴方でしょう?」
「そいつはどうかな? オレはその身体だった頃、えっちなことがしたくてしたくてたまらなかったからな。初めてする相手はどんなだろうって、ずっと考えてた」
「ええっ!? ……この体って、その、未経験だったのですか?」
意外だ、というようにソニアは立ち止まって驚く。
「おいおい、なんだよその反応。オレがふしだらな女だったとでも?」
「そういうわけでは……ただ、初めての割には痛くなかったというか……血も出なかったですし……」
ソニアは初めての夜を思い出しているのか太ももをすり合わせながら、もじもじと上目遣いでツガルを見上げる。
「あー、ハハハ……それは、なんというか……」
ポリポリ。
頬をかきながら空中を見回して、どこか居心地が悪そうにツガルは目を泳がせる。
「……してたから」
「え、何?」
「自分で、してたから……」
「何何? なんですって??」
恥ずかしがるツガルを見て、ソニアは意地悪く詰め寄った。
「そういうソニアはどうなんだよ! この体にいたとき、その……」
「んー? 知りたいのですか?」
ソニアは察した様にパッと離れて、やはり意地悪な笑みを浮かべている。
「そうですわねぇ。わたくしも男でしたから、それはもう毎晩のように致していましたわよ」
「えっ……、誰と……?」
「誰と? イヤですわ、ツガル。ひとりでに決まっているじゃないですか。わたくしのその体も、他人と繋がるのはこの体が初めてでしたのよ」
頬を赤らめて、ソニアが優しく微笑む。
「結局わたくしは、男として女を抱く前に、女として男に抱かれてしまいました。責任、取って下さいますわよね?」
廊下全体が白く輝くほどの後光を背負ってソニアが両手を広げツガルを招く。
イチャつきながら歩いているうちに、いつの間にか2人の部屋の前に着いていたようだ。
「もちろんだぜ、ソニア」
飛びかかるようにツガルはソニアを抱き、そのままの勢いで廊下で口付けを交わした。
2人は、そのあと滅茶苦茶 愛し合った。
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