ep6-6
たゆん。たゆん。
ツガルの目の前で、青いメタリックなボディスーツに包まれたマミヤの巨乳が揺れる。
「おいキミ! 試合の最中にどこを見ているのだね! まったく、これだからオトコというものは苦手だ」
マミヤは瑞々しく跳ねる乳房を隠そうともせずに胸を張って抗議する。
ツガルが羨望と憎しみを込めた嫉妬の炎を宿した熱視線を向けて食い入るように見つめていたため、フルフェイスの兜越しでもツガルがマミヤのおっぱいを注目していることがバレバレだったようだ。
「…… (わたくしの元の体もこれぐらい大きかったら、あの方の好みに適っていたのでしょうね。と思うと、憎々しいやら妬ましいやら……)」
ツガルは今の体には無い胸の膨らみを思い出してため息を吐く。
「はーぁ」
「き、キミ! 失礼だな! ひとの胸を見て何だそのため息は!」
マミヤはようやく恥じらいを感じたのか、片手で胸を隠すように支えながら再び剣を構えた。
「フフフ、鎧を失って無防備になったと思ったか? 私にとって鎧は身を守るためではない。拘束具なのだよ」
マミヤは左右にゆらゆらと揺れながら体のバランスを整えている。背中あたりでゆるくまとめた艶やかな長い黒髪と体の前のおっぱいが体の動きを後から追うように互い違いに揺れる。
やがてマミヤの揺れが収まると、今度はピクリとも動かなくなる。
そして……。
「フッ!」
マミヤが強く息を吐いた瞬間、マミヤの姿がツガルの目の前から消えた。
「……!!」
ツガルは慌てて剣を構え、わざと地面に転ぶように体をねじった。自分が立っている場所から最速で離れるにはそれしかなかったのだ。勢いに乗せて二転三転し、ひざを突いて起き上がる。
ツガルが数瞬前に立っていた場所には、マミヤの全体重が乗った剣撃が突き立っていた。体重だけではない。体が消えるように見えるほどの凄まじい加速も乗っていたのだろう。マミヤの剣は深々と地面に刺さっている。
「影が……なければ、食らっていましたわね」
「なるほど、天に救われたか」
マミヤの攻撃が加わる瞬間、ツガルは自分の周囲がわずかに暗くなるのを感じていた。その瞬間にツガルはもう回避行動に移っていた。
背後から飛びかかってきたマミヤの体によって太陽光が遮られたのだと後から気付いた。
「まあ、キミがホンモノならば避けられると思っていたよ。さあ、今度はキミの番だ。先程の剣技をもう一度見せてくれたまえ!」
マミヤは嬉しそうに剣を構える。
ツガルは呑気にも「笑うと可愛いな」と思い、フルフェイスの兜の中で釣られて微笑むのだった。
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