カタギの主人公が二度目の人生において主人に召喚され、紆余曲折ありながら、最後は感動的なハッピーエンドを迎える、素敵な物語。
主人公はランク1で、しかもカタギ。口も悪ければ態度もでかいが、主人公を召還した主人やその姉などの出会いによって、少しずつ変わっていく。そして、主人公の言動が周囲に影響を与えて、周囲の人々も変わっていく。
そんな異世界で、あることがきっかけで主人公とヘタ(主人)とその姉は大金を手にする。ヘタは学校に行くのが夢だった。その願いを叶えるために、王都に向かった三人は、主人公のかつての友人と再会を果たす。その友人の勧めで、賭け事に手を出してしまったが、なんと、ヘタの姉は賭け事の才能があった。しかも、ハーフビーストの美女だった。ほっとしたのもつかの間。ヘタの姉が、王の騎士から城へ連れ攫われる。
王都では暴動が起き、主人公は城へと急ぎ、ランク5の騎士と激戦を交える。そこで目にした王の本当の姿とは?
そして現れる、本当の敵! 己の魂をかけた真の戦いが始まる!
主人公などシュバリエ(ここでは召喚された者)が女神から与えられる特殊能力や、それを用いたバトルが見ものであり、キャラクターも前世の記憶を持っていることで独特の雰囲気がある。最初は主人(マジェスタ)が召喚者に代理戦をさせる構図が、某人気ゲームに似ていると思いましたが、読み進めると全く別物だと分かります。
最後は感動的なハッピーエンドで、とても良かったです。
是非、ご覧下さい。
1部の10話まで読みました。
設定も凝っていて、とても面白かったです。
1番印象的だったのは人の気持ちを大事にしているな、という所でした。
各々の心情が描写され、それが対になる展開にとても引き込まれました。
戦闘シーンは少し複雑でしたが、塵芥の攻略法は読んでいてとても感心しました。
少し違うかも知れませんが、塵芥の条件である力を伝える、という所を逆に利用し、技を相殺する事でその反動で塵芥の力が自身に伝わってしまい、塵芥が自身に発動してしまった、という解釈で宜しいでしょうか?
とても考え込まれた戦闘シーンだと思いました。
本当に面白かったです。
時間がある時、是非続きも読ませていただきます。
本作で目を見張るもの、それは、圧倒的な必然性ではないかと感じました。
何故今、この地に、この人物が転生し、どうしてこの闘いが起き、この結果になったのか。読み進めるうちに、それら全てに納得がいく。
読み易いのに、迷いのない文章で、その答えへと導いてくれる展開は、まさに、主人公の一貫した信念そのもののように思いました。
そして、もう一つ感心したのが、本作に登場する全ての人物に何かしらの意味があること。
敵も味方も関係なく、この者と敵対したから得たものがあり、この人と関われたことにより変われたものがある。
一人として無駄な出会いがないのです。
さらには、敵でさえ、絶対悪とは言えず、悪となってしまった背景に、ともすれば共感してしまいそうな自分を、主人公が曲がらない主張で対峙していく姿には、人として惹きつけられるものがあります。
一つ、読めない点をあげるなら、笑いの要素。そこそこシリアスなシーンで唐突に笑わせてくれる。何故ここで? と突っ込まずにはいられないのに笑ってしまう。
でも実は、その内容が後の重要場面への布石だったりするのです。
それが分かった時には、もうお見事としか言いようがありません。
作者視点で見れば、非常に綿密なプロットを作り上げてからの執筆だったのだろうと感心しきりです。
ですが、一人の読者としては、あっという間にこの世界に入り込み、主人公たちと一緒に笑って、泣いて、成長していくような感覚を味わうことができます。
非常に面白く、得るものの多い作品だと思いました。
『そうなるべくして、そうなった』主人公たちの必然性に彩られた人生の一部を、共に追体験してみてはいかがでしょうか。