第130話 異常事態
ニジナが下着姿でベッドに横になった……これは新手の嫌がらせだろうか……それとも自分のテリトリーを誇示する為の行動なのか……そうか、だから狭いベッドのど真ん中で横になってるのか……ベッドは私が貰ったとでも言いたいようだな……だが、そんな挑戦的な行動など俺には通じぬ! 下着姿だろうが、俺は気にしないでニジナの横に寝てやるぞ!
俺は下着姿のニジナを押しのけるようにベッドに横になった。左手がニジナの背中に触れて、ビクッとニジナの体が硬直するのがわかる。ふっ……まさかベッドに来るとは思ってなかっただろうに……貴様の思い通りにはならんということだ。
◇
わぁ……本当に横に来たよ……しかもすぐに体を触ってきた……どうしよう……何か反応した方がいいのかな……何かの書物で書いてたような気がする……行為中の男の人の愛撫には、演技でもいいので反応した方がいいって……でも……反応ってどうすればいいんだろ……あ──これもキネアに聞いとけばよかった……
まあ、なんとか想像で乗り切るしかないよね……今度、触ってきたら反応してみよ……
◆
それにしても狭いベッドだな……そもそもニジナがど真ん中にいるのがおかしいんだよ……ちょっとあっちにずれてくれると助かるのに……
俺は仕方なく、無言の抗議の意味を込めて、ニジナを少し肘で押してみた。
「うきょきょきょ! あきょきょ!」
な! なんだ? 変な奇声をあげてどういうつもりだ……まさか、私はここから動く気は無いわよって意思表示なのか!? なんと横暴な奴だ……
しかし、俺も田舎では鬼のジンタと呼ばれた悪ガキ……そんな気持ち悪い奇声ごときでは怯みはしないぞ!
なので今度は少し強めに、ニジナを肘で押してみる……
「アンキョン! うぎゃっか!」
……うわっ……やっぱ無理……怖すぎるわ……もう狭くていいや……端に寄ろう……
◇
二度のジンタの攻めに、私は渾身の反応をみせた……これで彼も興奮してきたに違いない……次は本格的に私にその欲望のすべてをぶつけて来るだろう……
とっ、胸をドキドキさせながら、それを待ったのだけど、なぜかジンタの動きがなくなった……どうしたんだろ……ここにきて恥ずかしくなったのかな……
私は思い切って、こちらからさらなるモーションをかけることにした。
丸まって、私とは逆の方を向いているジンタの背中を、そっと触れてみる……彼はピクッと少しの反応をしただけで、さらなる動きは見せなかった。続けて髪を優しく撫でてみた……こっちを向いて欲しい……そして私を抱きしめて欲しかった……
◆
むはっ!……なぜかニジナが俺の背中を押してきた。まさかまだ端によれと言っているのだろうか、流石にこれ以上は寄るとベッドから落ちてしまう……俺のこの状況を、ニジナは理解してるのか? そんな思考をしていると、今度は髪に手をそっと差し込んできた……そのまま髪を掴まれて、強引にベッドから落とされると身構えたが、なぜかそれ以上の行動はしてこなかった……
そうか……これは警告だな……もっと隅によらなければい、次は髪を掴んで引っ張り回すぞと言いたいのだろう。
それは嫌なので、限界を超えて俺はベッドの端へと移動する。もはや体の半分は空中に浮いていた。流石にキツイ……ニジナが寝たらちょっと位置を戻して寝ることにしよう。
◇
ジンタがさらに私から遠ざかった……私のモーションで、さらに緊張を強めたかもしれない……ここは思い切って下着も脱いで、彼に抱きついてみようか……柔らかい女の体に触れれば、緊張より興奮が勝り、欲望のままに行動してくれるかもしれない。
少し恥ずかしかったけど、好きな人の前で裸になることに、罪悪感はなかった……
まずはブラを外して、下もすぐに脱いだ……
そして全てをさらけ出した私は、ジンタの背中に抱きついた……
◆
ニジナがついに実力行使にでた。俺を後ろから羽交い締めにして、そのままベッドから突き落とそうとしてきたのだ……流石にこれ以上は逃げることもできない……
俺は覚悟を決めて、反撃に出る。
「ニジナ!」
そう叫んで強引に振り返る。そして彼女を仰向けに抑え込むと、少し脅すくらいのつもりで、両手を枕の上に重ねて押さえ込んだ……で……この体制になって気がついたのだが、なぜかニジナは下着も脱いで、完全な裸であった……
「え?!」
「ジンタ……痛くしないで……」
そう言うニジナの顔は、恐怖や憎悪の表情ではなく、なぜか頬を赤く染めて、恍惚の表情で、横を向いていた……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます