第83話 激闘の前夜
ジンタはラミアたちを遠目に見ながらあらぬ想像していた。今はさすがに人目がありすぎて変なことができないが、このミッションが終わったら、あんな事やこんな事をするんだと心を躍らせていた。
そんな自分の世界に入り込んでいるジンタに、ニジナが声をかける。
「ジンタ。ディレイが呼んでいたよ。リーダー全員集合だって」
「うむ。リーダーともなると、ぼけっとする時間もないから困るな」
そう言いながらジタンは、ディレイがいる拠点の中央へと歩いて行った。それを微妙な表情でニジナは見送る。
魔物の数を討ち減らすのは順調であった。すでに、敵の総数は1万体を切っていて、魔神さえいなければ今日にでも殲滅できるほどに縮小していた。だが、さすがに魔神を無視してこれ以上の討伐は難しくなり、いよいよ、魔神の対処を話し合うことになった。
「まず、魔神四体と一度に戦うのはさすがに無理だ。できれば一体ずつ仕留めていきたい」
ディレイの言葉に、皆頷く。
「それは確かにそうだが、実際どうやって魔神を分散させるんだ。あいつらそれほど知能は低くないぞ」
ヴァルダの言葉に、ビフィスが質問する。
「魔神はそんなに頭がいいのか?」
「人語を話す魔神も存在するから、知能はかなり高いと考えた方が無難だ」
リスティアがヴァルダに代わってそう答える。ビフィスはそれを聞いて結論を呟く。
「では下手な誘導は危険だな・・」
「だったら下手な誘導でなければいいだよね。僕が突っ込んで魔神を引っ張ってくるよ」
ルキアが涼しい顔でそう言う。さすがにそれを聞いた一同は驚き、反対する。
「馬鹿! さすがにルキアでも、あんなとこ突っ込んだら危ないぞ」
「大丈夫だって、何も本気で戦うわけじゃないし、一撃攻撃を与えて逃げるだけなら危険は無いよ」
普通の冒険者なら、魔神四体を相手にそんなことをすれば瞬殺である。ルキアだからこその発言だが、さすがに皆、戸惑う。
しかし、他に良い方法が思いつかなく、その無謀な作戦を実行することになった。これにより、作戦に見あった編成にする為にパーティーを再編することになった。
各、パーティーリーダーが一つのパーティーに集められ、魔神を討伐する最強パーティーとして編成される。しかし、リーダーの一人であるジンタだが、さすがに危険ということで除外された。代わりに魔神以外の討伐を担うパーティーのリーダーを任される。
「魔神討伐パーティーが魔神と戦っている間、なるべくこちらに他の魔物がいかないようにしてくれると助かるよ」
ルキアがジンタにそう話す。
「うむ。任せとけ」
ジンタは軽くそう返事をした。
大きな作戦の実行を前にして、その日の夜は軽い宴会が行われた。少し豪華な食事と、少しの酒が振る舞われて戦いの前祝いをする。
ジンタは、ラミアの件があるので、この宴会では人気者だった。
「ジンタ。例のラミアのテイムの話をしてくれよ」
そう言ってみんな近づいてくる。さすがにこの話はうんざりなので、ジンタは隙を見てその場から抜け出した。
ジンタが向かったのはラミアたちが待機しているテントであった。ラミアたちにも肉などが振る舞われていて、彼女たちはそれを食していた。
「これはジンタさま。私たちにご用ですか」
ジンタの姿を見て、ラミアの一人がそう声をかける。君たちのおっぱいを見に来たんだよとはさすがに言わずに、様子を見に来たとだけ伝える。まあ、焦ることはない。このミッションが終われば、10人のラミアとあんな事やこんな事を出来るのだから。
さすがに何も話さずにじっと彼女らを見つめるのは違和感があるので、何気ない話をしながらチラチラと女体を堪能する。ラミアたちはそんなジンタの視線に気がついていたが、あまり不快には感じておらず、逆に、主であるマントの所有者に喜んでもらえるのならと、体の隅々がよく見えやすいようにしていた。
「ジンタ。ここにいたのか」
そう声をかけてきたのはリスティアだった。かなりスケベなモードになっていたジンタだったので、その声に少し驚く。
「リ・・リスティア。どうしたんだこんなとこに来て」
「いや、ジンタと話したかったんだけど、あっちにいなかったから探しに来たんだ」
嬉しい言葉だけど、今はそっとしておいて欲しかったと少し思う。
それからリスティアとラミアの話をしていると、彼女がラミアの乳房を見て、こう言いだした。
「もしかしてジンタは、ラミアの胸を見て興奮していたのか?」
図星を言われて、少し戸惑う。
「うむ・・・興奮してなかったかと言えば嘘になるな・・」
「そうか、私の胸とどっちが興奮するんだ」
「そりゃ、リスティアの方が興奮するかな」
ジンタが正直にそう言うと、リスティは少し怪しく微笑み、胸元に手を伸ばしながらこう言った。
「見たいなら見せるがどうする?」
そんなこと言われて、断る理由が見つからないジンタはすぐに激しく首を縦に振る。するとリスティアは胸元の薄い布を引っ張って胸を出そうとした。
「ジンタ! そんなとこで何やってんのよ」
少し離れた場所から、ニジナの声が響く。それを聞いてリスティアは胸を服の中に戻した。
せっかくのリスティアの胸を見せてもらえるこの瞬間に、なんとタイミングの悪い奴だと不機嫌に答える。
「なんだよ、ニジナ。別に俺がどこで何しててもいいだろ」
「あんたが何やっててもいいけど、せっかくの料理が冷めるのがもったいなくて、居ても立っても居られなかったのよ。せめて食べかけの物だけでも食べなさいよね」
本当はジンタのことが気になって仕方なかっただけだが、さすがに本人にそんなことは言えない。
「もう・・食えばいいんだろう食えば!」
そう言ってニジナの方へと歩いていく。リスティアは、ニジナの微妙な女心を察したのか、それを温かく見守っていた。
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