第31話 なんとかなるもんである
数十体のパワーオーガと二体のヒドラ。さすがにこれを倒すのは骨が折れる。さらに言うと、これを倒している間にも、どんどん周りのモンスターポータルから敵は湧き続ける。まさに絶体絶命の状態であった。
「ニジナ・・なんか起死回生の策は無いか!」
「そんなのあるわけないでしょ、ユキちゃん。どうにかならない?」
お子様に危機を救ってもらうのもどうかと思うが、ここはやはり最強の戦力であるユキに頼るしか無い・・・
「任せて。全部凍らせる。だけど凍らせるだけで、倒せはしないかもしれない」
「凍らせて動きを止めれば、私がなんとかするよ」
ユキの言葉を聞いてシュラがそう話す。
「よし。それじゃ、ユキ。凍らせてくれ。そのあとはシュラ、頼んだ!」
ユキは手早く動作をすると、技を発動する。
「凍結大吹雪!」
そう叫ぶと、ユキの真上に渦のようなものが現れる。その渦はどんどん広がりを見せて、周りのモンスターを巻き込んでいく。
吹雪のようなその渦が晴れると、周りはモンスターの氷像が立ち並んでいた。
「今だ! シュラ!」
そう俺が言うと、シュラが動く。シュラは高くその場でジャンプすると、激しく回転する。そして物理技を放った。
「サークルブレード!」
武闘家や拳闘士が得意とする技に真空波と呼ばれる技がある。シュラはそれを円形に放った。真空波は広い範囲に周りに広がっていき、次々と氷像を破壊していく。ユキとシュラの連携技が初めて炸裂した。
凍結状態で生きていたモンスターも、さすがに粉々に粉砕されては一溜まりもない。その攻撃で全てのモンスターを一掃した。
「よし。二人ともグッジョブだ! それじゃ、逃げるぞ」
そう言って俺たちはそこから逃走した。
安全地帯まで来ることができて、そこでステータス画面を確認して驚いた。レベルが二つもアップしていたのだ。
「すげ・・レベルが2も上がってる・・」
俺がそう言うと、ニジナもレベルが上がったようで驚いたように話す。
「私も1だけど上がってる・・やっぱりすごいね・・」
まあ、どれだけ倒したかわからないからな・・
とりあえず今日はこれで終わりにして帰ることにした。ちょっと危険な感じにはなったけど、なんとか狩りはできそうなので一週間ほどここで頑張ってみることになった。
その日は、寮に戻ると、さすがに激しい狩りだったので疲れたのか、何もする気が起きずに床の毛布にそのまま倒れこむ。ユキとシュラの二人も、無言でベッドに転がるとすぐに眠りについたようだ。俺もそのまま深い眠りへと落ちていく。
そんな激しい狩りが一週間続き、俺のレベルも16まで上がった。しかし、レベルの上昇に伴いレベルの上がりが悪くなったので、明日からは別の狩場へと行くことになった。ということで、今日は準備と休憩でお休みとすることにした。ユキもシュラも疲れてるだろうから今日は休ませないと。
二人を部屋で休ませている間、俺はレベルの上昇でジョブポイントが増えたので、ポイントを割り振りに女神の祭壇へと向かった。
「女神。ポイント割り振るぞ」
「・・・エロをつけなかったことは褒めましょう。ただ、呼び捨てはどうかと思いますよ」
「まあ、いいからポイント割り振るぞ」
「・・・ちょっとあなた・・一週間くらいでレベルが5も上がってるじゃないですか・・」
「頑張ってレベル上げしてるんだよ」
「あなた召喚士ですよね。もしかして頑張ってるのはあなたじゃなくて、召喚モンスターじゃないのですか」
図星を言われるが、ユキとシュラの頑張りは俺の頑張り見たいなものだ。
「俺も頑張っているぞ」
「・・・・まあ、いいでしょ。ポイントの割り振りでしたね」
そうだな・・召喚数を上げたいのだが、三体を召喚できるようになるのは幾つだろうか・・聞いてみよう。
「三体召喚できるようなるには、召喚数にいくつ振ればいいのだ?」
「70ですよ。今、20ですから後50ですね」
・・・まじか・・今持ってるジョブポイントは10だから全然足らない・・ここに振っても意味ないな・・
「差し出がましいかもしれませんけど、召喚モンスターに負担をかけてるようなら、戦闘補正にもポイントを振ったらどうですか? 召喚士としての力量を測る重要な要素ですよ」
女神の言うように、戦闘補正は本来、召喚士としてもっとも重要とされる要素である。だけどエロに関係ないものなので、ジンタにとっては価値がなかった。
戦闘補正だと・・そんなエロに全く関係ないものになぜ、貴重なポイントを振らなければいけない・・でも・・待てよ。戦闘補正でユキとシュラが強くなれば、レベル上げが楽になるんじゃないか・・そうか、そう考えればエロに繋がる重要なポイントになるかもしれん。
「うむ。女神の助言を聞くのは癪に障るが、確かにそれもありかもしれん。では、戦闘補正に10ポイント振るぞ」
「わかりました。それで処理します」
いつものようにプチっと唐突に干渉が切れる。多少は余韻を残せ余韻を・・
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