第14話 リンと米国高級部品
リンのマシンに使われているパーツは、ほとんどがアメリカンハイエンドパーツという、アメリカ製の高級部品である。
上質な素材を削り出すことによって作られたパーツは、おおむね軽量で高性能。格好良く、そして高価。
リンも、スチームローラーを手に入れた時は、ユウと同じような部品構成だったが、ネットでその存在を知って、とりあえず1つ付けてみたらその格好良さと高性能にやられ、1年の間にほとんどのパーツを入れ替えてしまった。
だから、ユウの気持ちも良く分かるのだが、ユウは、まだ先に揃えるべきものがある。
あえて、ユウにあまり情報を与えなかったのだが、ユウは家に帰って、すぐにネットで検索してみた。
「う〜ん。」
思わず、ユウは腕組みしてしまった。安くはないだろうとは、思っていたが、こんなに高いとは思っていなかったのである。
シングルスピードは、部品点数が少ないとは言え、それでもトータルで、けっこうな金額になる。ユウのスチームローラーがあと3台くらい買えそうだ。
月々もらっている自分の小遣いでは、どうにもならない。
ユウは、生まれて初めて、お金が欲しいと切実に思った。何かいいアルバイトはないかなと思った。
まあ、当面はどうなりそうもない。
母が夕飯ができたと呼ぶので、2階の自分の部屋から、1階のダイニングに降りて行った。父は、まだ帰ってきていない。
夕飯を食べながら、母と話していると、母が突然言った。
「そのリンちゃんて言う子を、うちに呼べないかしら?」
ユウがスチームローラーを買ってから、休みになると出かけて行く。お土産を買って来て、どこに行ったか、楽しげに話す。
母としては、その時いつも一緒だという、リンという娘のことが気になる。一度、会ってみたいと思ったらしかった。。
ユウは、リンが嫌がらないかなと思ったが、母の頼みでもあることだし、翌日リンに聞いてみた。
「うん、いいよ。」あっさりリンは答えた。
夕食を一緒に、ということで、何かリクエストは、と尋ねると、ちょっと考えて、
「お手間じゃなければ、ハンバーグがいいかな。」
ゴールデンウィークに、リンはユウの家に来ることになった。
「ハンバーグね、まかせて。」ユウの母は、自信ありげに言った。
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