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空港から出てすぐにバスに乗り、若葉は翔也の事務所まで付き合った。
若葉は事務所には入れないので、事務所近くの喫茶店に入ってお茶とケーキを食べた。
ここのはすごく美味しい。
東京に来たばかりの頃から父によく連れてきてもらっていた常連だ。
この喫茶店は事務所が近く、芸能人御用でもあるので芸能人専用のスペースもある。
店長は若葉が監督の娘であることを知っているので、よくサービスしてくれる。
ひっそりと芸能人専用のスペースに入れてもらい、店長とお話した。
店長は面白い人で、何を話していても飽きない。
一時間後くらいにまた事務所の前に来いと言われたので、ゆっくりするつもりでいたが話していると一時間なんてあっという間に経つ。
翔也から「来いって言ったじゃん!」という怒りのメールで初めてもう一時間経ったことに気付き、名残惜しいが店長とお別れした。
今回翔也は事務所で台本を貰ってきたらしい。そしてこれを三日で覚えろと言われたという。
しかしその台本の厚さたるや、とても3日で覚えられるようなものじゃない。
内容は学園モノらしく、翔也はかなりの問題児を演じるという。
そしてやっとこさ家に戻ってきた。
「あ、なんか…申し訳ないけど…すごい帰ってきた感じがする。」
「いいよそう思ってくれて。私もあんたがいる生活に慣れたわ。」
「あ、もしかして寂しかったのか?」
「うっさいハゲ!」
思わず激しく言い返すと、翔也は
「ハゲって…せめてボケにしてよ…。」
としょんぼりしていた。
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