機械仕掛けの卵と満たされぬ月~天帝の妃に成り代わった宦官の物語~

作者 鳩子

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★★★ Excellent!!!

天帝と四つの妃星、四つの宦官星が、世を統べる世界。今上帝の寵を受けていた宦官・烏影は、正妃を決める「卵」が運ばれてきた後、北の藍青妃に殺害された……はずだった。気づくと、彼は藍青妃の身体の中にいた。天を仰いでも宦官星はなく、烏影は存在すらなかったことに。藍青妃として取り繕わなければならなくなった烏影に、他の妃が問う。「あなたは、誰ーー?」


中華風な描写で描かれる世界は、衣装に食べ物、小物に至るまで、実に繊細で華やかです。閉じた世界の中で繰り広げられる妃たちの駆け引きや愛憎に、息が詰まりそうになります。ところが、物語は意外な方向へ進みます。
真実はどこにあるのか、真に罪を犯したのは誰なのか。切ない恋情と欲望が招く時間の連鎖に、酔いしれて下さい。

★★★ Excellent!!!

‪『中華ファンタジー』と言えば、「愛してるのはお前だけ」とか言いながら、ヒロイン以外の女も抱きまくる男や、‬「後宮」の女達のドロドロ感が苦手で‪、今まで読むのを避けていた。‬

この作者さまの作品に出会うまでは。


確かに、一人の男を巡る女達の恋情や嫉妬が描かれてはいる。が、「なんとしても王さまの寵愛を勝ち得てみせるっ!」と言うのが物語の焦点ではないところに、好感が持てる。不思議な煌めきに彩られた世界観は、ファンタジーの枠を超えて、近未来の物語ではとの錯覚さえ起こさせる。

悲しいほどに美しく描かれる『禁断の恋』に胸を貫かれ、謎めいた仕掛けを幾重にも施された展開に息を呑む。そして、時に、とても艶っぽくもある。


『悲恋』とあるだけに、主人公二人に待ち受ける運命は決して明るいものではないだろう。それでも、読み終えた時点で「これで良かったんだ」と納得し、余韻に浸る終焉となるはず……そう信じて、二人の行方を追い続けたい。