第37話
自分の腕をマジマジ見て驚いた少年──
「俺がっ……なんでっ……」
まるで、腕が勝手に動いたと言わんばかりに恐怖の表情をする。
ブルブルと全身を震わせ、自分の頭を掻き毟る。
「やめろっ……そんな事聞きたくない……そんな事出来ないッ!」
「やめろ! やめてくれ!」
耳を塞ぎ、大声で何かを打ち消そうと叫んでいた。
ヨロヨロと起き上がった
「
乱れた襟元を正しながら彼の顔を覗き込むと、彼は怯えた目で
「俺に近寄らないでくれっ……」
触れられた手を払いのけ、
「俺はっ……
「どうしたんだいっ?!」
その時、音と声で異変を察知した
部屋の隅に
「りっちゃん! 何があったんだい?!」
そう声をかけると
その身体を抱きとめると、彼女が震えている事に気付いた。
「
その時、
人質に使われるかと思った
意識を混濁させた彼が、突然目覚めて
何故
それは
方法は分からない。
しかし、相手は未来から来たらしい。
例えば判断能力を奪い、言う事を聞かせるなんらかの方法を持っていたとしたら──
なんて残酷な奴らだ。
そうだ。
なのに相手方はそれをせず、こんなジワジワと
本当に、
こんなのはまるで、子供相手に精神的に拷問しているかのような──
「ただいまー。いやぁ、ホームセンターってなんでもあるんだねー」
呑気な声とともに、玄関が開く音がする。
買い出しに出ていた
「まーちゃん!」
呼ばれた本人は、その緊張感
「何?! どうしたの?!」
部屋の中の様子を見て
その後ろから
「どうしたんですか?」
覗き込んだ彼女も、その異様な雰囲気を察して息を飲んだ。
まるで分からない状況に、その場で全員が立ち尽くすしか出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます