第8話 勇気づけ (現実)
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(現実世界)
セクハーラ・トウゴウとの死闘を土屋が投稿サイトにアップした後、感想がいくつか寄せられた。
『投稿者:ダンディ 50歳~59歳 男性
今回の展開、ちょっと笑ってしまいました。セクハラ、許せないですね。もし私の部下でそんな言動している人がいたら、即刻『滅殺』してやります(^^)。』
(おお、ダンディさん、やっぱり部下がいる人だったんだな。うんうん、セクハラを許せないって思ってくれてる、正義感の強い人なんだな)
『投稿者:カワウソ 20歳~25歳 女性
今回、ハラハラしながら見ていました。だって、私達の職場にも、実はセクハラ疑惑のある人がいるので……私はちょっと気が強いので、直接何か言われたことはないのですが、もしそんな目にあったら、『滅殺』してやりたいですね』
(あ、またカワウソさんが感想くれた! よかった、ずっと続けて読んでくれているんだな。この感想……本人が言うように、ちょっと気が強いのかな? まあ、嫌いじゃないけど)
そして今回、新しく女性の読者から感想が来ていた。
『投稿者:ゆうみん 20歳~25歳 女性
はじめまして! 今回のお話、読んでいて凄く感動しました! 特に、セクハラ発言にもめげず、勇敢に杖一本で立ち向かっていったユウちゃんに、すごく共感しました! 実は、私はこの四月から会社に入った新入社員なのですが、ある上司から、ことあるごとにちょっといやらしい言葉をかけられたりして、気が滅入っていたんです。でも、それを誰かに相談する勇気が無くて……でも、今回のお話を読んで勇気づけられました! 私もセクハラに対しては、ユウちゃんみたいに果敢に立ち向かっていきます!』
(……は? あの話に、感動した? いやいや、結構トンデモ話だったんだけど……)
そう考えた土屋は、相当いやらしい言葉を使っていたこと、それを、どこの企業かは分からないけど若い新入社員の女の子が読んでいた事実に、少し顔が赤くなった。
(……あの話に共感するなんて……ひょっとしてこの女性、ちょっと天然なのかな? ……それにしても、セクハラって、どんな会社にも多かれ少なかれ存在するんだなあ……まあ、彼女を勇気づけられたのなら、意味はあったのかもしれないな)
感想を沢山もらえたことに土屋は満足し、ゆっくり眠れたのだった。
その一週間後、彼の会社に衝撃が走った。
かねてからセクハラ疑惑のあった大東原(だいとうばら)課長が、勇気ある一人の若い女性社員(誰かは不明)からセクハラの告発を受け、それに触発された女性社員達の賛同もあって、過去の問題発言などが全て露呈。
その事を知った社長が激怒、トップダウンで処分を実施。
課長から課長代理に降格させられた上、三ヶ月の減給となってしまったのだ。
大東原課長代理はショックで寝込んでしまい、女性社員達は、「正義が勝った」と歓喜した。
土屋としては、まるで自分の小説が現実になったようにタイミング良くセクハラ問題が解決したことに、何か運命じみたものがあるのかな、と、不思議な気持ちになったのだった。
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(作者あとがき)
※前回の物語の中で、同僚社員達が様々な秘密を暴露されていましたが、これはあくまで土屋の創作上の設定であり、モデルとした実際の同僚社員が本当にそうなのかは全く別の話です(^^;。
※まだ今のところ、土屋も、感想を書いてくれた人も、お互いのことを知らない状態ですが、あれ? と感じる人も出てきたようです(土屋は、一応バレないように登場人物の名前をモデルとなった人物から変更させています)。
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