「うおおおおおおおおおおおおおお！」

　オレは雄叫びを上げながら、自警団を倒していく。自警団の中には逃げ出す奴も出てきていた……。

「貴様、何を逃げている？　それでもスルアム自警団か？」

「ひ、ひいいいい！」

　フルプレートメイルを装着した教徒兵が自警団の男を問い詰める。男は恐怖からだろうか、悲鳴を上げていた。

「もう、戦う意思がないようだな。邪魔だ。死んでいろ」

「うあああああ！」

　自警団の男が教徒兵に刺され、断末魔を上げる。こ、こいつら……。

「おい！　そこの教徒兵、なんで自警団を殺した！？　仲間じゃねえのかよ！？」

「貴様、やはり感情に流されるのだな。くだらん。戦う意思を失くした者に逃亡を許したらどうなる？　士気は下がり、更なる逃亡者を増やすだけだ……。……名乗りが遅れたな。私はワルモン教徒兵、兵長、スパイルド……。これから貴様を倒させてもらおう」

「……兵長ってのは、一番偉いんだろ？　前線に出て来るもんじゃねえだろ……？」

「これまでの貴様の闘いぶりを見るに、私が最も適任だと判断したのだ。……貴様に敵う人間が教徒兵の中に私しかいない、という情けない話でもある……。……おしゃべりをしている内に逃げ場はなくなったようだぞ？　残念だったな……」

　逃げ場がなくなったという言葉に反応し、オレは周囲を見渡す……。ワルモン教徒兵がオレとスパイルドを囲むようにして円を作り、剣を構えている。教徒兵と教徒兵の間は子供でもすりぬけができないくらいに詰められていた。これは……。

「知っているぞ……。潜伏系のスキルは自身が敵だと認識する相手に触れると効果が切れるのだろう？　この人間リングの中では貴様の超潜伏は有効ではない、というわけだ」

「だから何だってんだ？　この人間リングから出ることはできなくても、アンタの不意を突くことは可能なはずだ……！　超潜伏……！」

　オレのスキルは問題なく発動した。これで奴の……スパイルドの視界からオレは消えたはずだ……。

「まったく、厄介なスキルだな。私も感知スキルはいくつか持っているが……、どの感知スキルを使っても反応なし、か」

　オレはスパイルドの後ろを取った！　後はぶん殴るだけだ……！

「しかし、感知できないのであれば、貴様に触れれば良いだけのことだ……。スキル『究極・敏捷強化』！」

　な、なに！？　『究極・敏捷強化』だと！？　一万スキルポイントも要る敏捷性を強化する最上位のスキルじゃねえか！？

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