その花たちは君にほほえむ。

作者 奔埜しおり

甘い花の香りを感じられるのは……同じ切なさを秘めた者だけ。

  • ★★★ Excellent!!!

一言で言えば「そうくるか!」という作品。

良い意味で予想を裏切られます。ラストまで読むと、タイトルの持つ意味がすごく深く伝わってきます。唸りました。あと、最初から最後まで一気読みしました。

全体としては、キャラも最適な人数と個性で絞られていてとても頭に入ってきやすいし、なにより、若者の大胆かつ繊細な意識、意志、行動、そういったものが、とてもとても丁寧に描かれていると思いました。

この作品のメインキャストの年代って、ものすごく思考が繊細でかつぐるぐるとコンプレックスな感じだと思います。でもその繊細さの反面、行動に出る時は「どうしてそうなった!?」ってことが多いと思うのですね、おじさんたる私としては。

この作品ではその辺りの心情描写が実に良いギミックになっていて、「ええ、そこでそう来ちゃうの、なんで!?」というある種、忸怩たる想いを度々させられてしまう。でも、そうだよね、そうなるよね……という親目線? みたいなもので受け容れざるを得ない、というか。

この作品、殆ど必然として、話の筋に「おとな」が絡んでこないんです。だから誰も「メインキャストの若者」に道や選択肢を示せないんですね。でもそれもそのはずです。花人になってしまったら……。

切なさが凄まじい作品ですが、それだけでは終わりません。

これ以上喋ると壮大なネタバレになってしまうので黙ります。

このレビューのタイトルの意味も本文を読めばわかります。
皆様もぜひぜひご堪能下さいませ!

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