体育祭 二人三脚 前編

 何事もなくお昼が終わり残す種目はあと少しとなった。

 僕が次に出場しないといけないのは二人三脚だ。

 歩美がかなりのやる気を見せて練習していたから早くなったと思う。


「二人三脚に出場する生徒は出場門に集まってください 」


 アナウンスが流れる。


「係、いくわよ 」

「うん、頑張ろう 」


 やる気を出して1歩を踏み出そうとするが歩美は動かない。


「おんぶ 」


 いつもの如く手を広げる。


「こんないっぱい人がいるのに 」

「別に気にしないわ 」


 まあ、さっきも借り物競争でしたしそこまで抵抗がある訳では無いけど…。


「もう、競技なのにそんな調子で大丈夫なわけ 」

「むしろ無駄なエネルギーを消耗したくないの 」

「物は言いようだな 」


 仕方ないおんぶするか。


「よいしょ 」

「ありがと 」


 出場門に向け歩きはじめる。

 歩美は相変わらず軽いためそこまで苦ではない。


「瀬羽係 」


 桜が女の子を連れて僕の前にたった。


「どうしたの桜 」

「勝負の件忘れたわけではないだろう 」

「なんのこと 」

「なっ、この前約束しただろう 」

「歩美覚えてる? 」

「いいえ 」

「なんで覚えてないのさ 」


 桜は少し涙目になっている。


「ごめんごめん、覚えてるよ 」

「ふんっ、ならいいんだ 」


 勝負なんて正直めんどうだ。

 だいたい同じタイミングで走るかなんて分からないだろうに。


「心配しなくても僕達は一緒に走る事になっている 」


 ドヤ顔で言ってくる。


 はぁ


「なんでため息なんだ 」

「別に 」

「むぅ、まあいい。私が勝って歩美のお世話役を手に入れる 」


 手に入れるって、お世話役は物なのか。


「そ、それと、負けた方に言うことを聞かせられる権利もだ 」

「ちょっと待って、それはほんとに聞いてない 」


 桜は顔を赤くしている。


「ふんっ、別にいいだろ。それとも勝つ自信がないのか 」

「そんな見え見えの挑発しなくても。まあじゃあいいけど 」


 元々負ける気はないし、もし負けても大したお願いは言ってこないだろう。


「よし、僕が勝ってあいつに… 」


 なにかニヤニヤしながらボソボソ言っている。


「桜、なにをお願いする気なの 」


 すると何故か歩美が急に桜を睨み始めた。


「そ、それは。その 」

「そう、もういいわ。絶対負けない 」

「むっ、僕が勝ってみせるさ 」


 これって、僕と桜の勝負じゃなかったっけ。

 なんだか歩美と桜がバチバチしている。


「それじゃあまた後で 」

「ええ 」


 桜はそう言って去っていった。


「歩美どうしたの急にやる気出して 」

「別に…。それより早く行くわよ 」

「ああわかった 」

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