閑話 杉原恵

 私は高校生になって少し特別な出会いがあった。


 正直、中高一貫校の生徒にとって高校生になって変わることは肩書きが変わることでしかないと思っていた。


 知らない子はほとんど居ないし、なにかいい出会いが会ったらいいな、なんてあるはずないと思っていた。


 けれど、入学初日、歩美ちゃんをおんぶして教室に入る係君と出会ったのだ。


 私は一目見た時から彼に釘付けだった、少女のような顔立ちの中で、時折微かに見せる儚げな表情、歩美ちゃんとの掛け合いも面白くてどんどん興味を惹かれた。



 学校案内をしたのに下心があったのは内緒だ。


 彼と話すと、本当に見た目どおりの人物だった。

 優しくていつも周りを見て気遣い思いやる、からかうと少し頬を膨らませて怒る。


 本当に可愛い。


 向こうから友達になって欲しいと言われた時はニヤけそうになる表情を必死に抑えた。

 学校案内をして良かったと今でも思う。



 今ではお昼も一緒に食べる仲である。


 気の所為かもしれないが彼の笑顔はたまに寂しさが混じっている気がする。

 気の所為ならいいのだけれど、そうでないなら助けになりたい。


 そう思わせるのも彼の人徳なんだろうな。



 高校生になる事で何も変わらないと思っていた。


 それでも見つけた特別な出会い、私の青春は特別になる、そんな予感がした。


「おはよう係君 」

「おはよう恵 」


 そう言って係君は微笑む。


「今日も可愛いよ 」

「もぅ、またそんなこと言って 」


 少し頬を膨らます。


 ふふっ、彼の前だと少しSっぽくなっちゃう。

 けれど、彼と一緒にいるのは心地いい。


 きっと楽しい青春にしよう、これからもよろしくね係君。

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