学校案内2

 恵とあと背中で何故か威張っているプラスアルファに学校を案内してもらっていた。

 校舎の広さに驚くと同時に案内が無いと迷ってしまうなと思った。


この桜ノ宮高校は、かなりの伝統のある高校らしい。

けれど、数年前に大掛かりな工事が完了して全て新しい校舎となっている。


「ここが職員室 」

「教室と違っていつも心地いい温度よ 」

「職員室に何を求めてるんだよ」

「ふっ、愚問ね 」

「一応言っとくが休むのに使えないからな 」

「えっと。中学校の時たまに職員室で歩美ちゃんを見かけたような… 」

「あまり私を舐められて貰ったら困るわ 」


 背中にいるからわからんけどきっとドヤ顔してるんだろうな。




「ここが図書室 」


 おぉ、と思わず声が漏れた。

 学校の図書室とは思えない広さだ。


「たしか県内で一番大きいらしいよ。そのかわり中学生と一緒に利用しているの 」


 なるほどだから図書室が中学校に近い所にあるのか 。

 よく見たら高校の制服とは違う制服の生徒がいる。


「図書室は最高ね 」

「ほぅ。一応理由を聞いてみよう 」

「ここほど静かで落ち着けてその上、職員室に匹敵する快適な温度。素晴らしいわ 」


 だから図書委員になったのではないだろうか。


「歩美ちゃん中学校の時からこの図書室で仕事してるから委員としては優秀よ 」


 ほんとかと疑ったが恵が言うなら嘘ではないだと思う。

また背中でドヤ顔してるんだろうな。




「ここが体育倉庫 」

「ここのマットはとても綺麗で寝心地抜群よ。あと跳び箱の上もなかなか捨てがたいわね 」

「さっきから必要の無い情報をありがとう 」


 僕がそう言うと、何故か恵が悲しそうな顔をした。


「ごめんね、私、気づかなくて。体育倉庫なんてどっちでも良かったよね 」


 勘違いさせてしまっただろうか、直ぐに弁解しないと。


「可哀想に恵。わーるいんかーわるいんかー、せーんせいに言ってやろー 」


 弁解しようと思った矢先に背中から声が放たれた。


「小学生か 」


 歩美にツッコミをいれるが、恵がさらに悲しそうな顔をして手で覆った。


「そうだよね。私の説明なんて小学生でもわかることだよね 」


「いやっ、違くて。その、 」


 どうすればいいかとオロオロしていると、恵の肩が小刻みに震え出す。


「ふふっ 」


 すると歩美と恵は声を出して笑い始めた。


「係やっぱ面白い 」

「係君はからかいがいがあります 」


 なっ、からかわれてたのか。

 いやまあ、よく考えれば勘違いするところではない。


恵はただの清楚系美少女ではなくからかうのが好きなのか。

からかい上手の杉原さんなのか。


いや、僕がチョロいだけか…。


「なんだよ。ふんっ 」


 そっぽを向く。


「ごめんなさい。怒った? 」


 恵が上目遣いで覗き込んできた。


 近くで見るとやっぱ可愛い。

 そんな顔で見られたらどんな憤怒も吹っ飛んでしまいそうだ。


 そして再び言わせてもらおう、やっぱそれはずるい。


「怒ってないよ 」


 まあ、こんなに気の許せて話せる人ができて良かったかな。

 心の中でこっそりと感謝をした。


「よしよし偉いぞ。流石おんぶランキング6位ね 」


 歩美は背中から僕の頭を撫でた。


「やっぱ微妙なんだよな 」




「最後に食堂 」


 広さはまあまあで、今日は閉まっているが部活をしている人向けに放課後も空いているらしい。

 食券機がありそこで券を買って交換してそらうそうだ。


「ここの料理は結構いけるわ 」

「おっ。ここにきて普通の解説 」

「普通とは何よ 」

「だってさっきから心地よく寝れる場所ばっかだったじゃないか 」

「食堂はご飯を食べるところよ。そのくらい常識だと思うのだけれど 」


 歩美は憐れむような口調で言った。


「どの口が言うか。今まで紹介してくれたところも決して寝るとこじゃない 」

「また細かいこと言って。禿げるわよ 」

「だから細かくないし、禿げないよ 」

「大丈夫坊主も似合うと思うよ 」


 そう言って可愛らしくガッツポーズをしている。


「恵さんそれフォローになってない 」

「ふふっ」


顔を見合わせる、誰もいない食堂前で3人の笑い声が響いた。


 なんかいいなこういうの。


「あのさ 」


 少し気恥しくなって言葉が詰まってしまう。


「どうしたの? 」

「なによ 」


 2人はキョトンと僕の方を向いた。

少し息を呑んで気合をいれる。


「僕と友達になってくれないか 」

「もちろん。ていうか私はもう友達のつもりだったんだけどな 」

「そっか、ありがとう恵 」

「ええ、どういたしまして 」

「歩美はどうかな 」

「もちろんよ。これからもいろいろよろしく頼むわ 」

「なにがいろいろか聞かないけどありがとう 」

「でも歩美あんまおんぶとか知らない男とかに頼むんじゃないぞ 」


 歩美は無防備過ぎると思う。

 こんな可愛い子から頼まれたらほとんどの男がイチコロだな。


「知らなくないし 」


 歩美がなにか背中でボソリとつぶやいた。


「なんだって 」

「貴方だから頼んだのよ 」


 そんな言い方されると他意はないと分かっていても勘違いでドキドキしてしまう。


「たく、歩美は結構可愛いんだから、無防備にするなよってことだ 」

「バカ 」

「なんでバカなんだよ、って、痛い痛いあんま叩くなよ 」

「ふふっ。歩美ちゃん赤くなって可愛い 」


 赤くなっているのだろうか。

 背中にいるからどんな表情かまったく分からない。


「なってないし 」

「まあでも歩美ちゃんはあんまり男子と仲良くしてるの見たことないわね 」


 恵はそう言いいながら考え込んだ。


「そうなのか 」

「うん。だから今日、係君がおんぶして教室に入ってきてびっくりしたの。でもまあ… 」


 最後まで言い切らずに僕の顔をまじまじ見る。

 そんなに見つめられると照れる。


「なにかな 」

「係君なら任せられるわ。これから歩美ちゃんをよろしく 」


 なんだか任されたんだけど、なにを任されればいいのだろうか。


「よろしくって言われても 」

「あっ、あと私もね 」


 自分の頬に指を刺してウインクをした。

 一つ一つの行動が無駄に可愛いすぎる。

 

「まぁ、これから友達としてよろしく。決して僕をいいように使わないように 」


 これ大事。


「善処するわ 」

「ふふっ。よろしくね 」


 僕は初日からかけがえのない友達を2人も手に入れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます