仄暗い甘さと、闇の中に蠢く美しさが混ざり合う物語
- ★★★ Excellent!!!
これは個人的な印象ですが、八束さんのものがたりは、排他的で廃退的だなあとおもいます。とてもゴシックな世界観と甘やかさの物語のなかにも泥くささが含まれています。
でもそれが、とても八束さんの描くお話らしくてわたしは好きです。
『魔女のみだらな生殖』もまた、閉じられた世界のなかの甘美だけでなく、歴史背景と宗教観の混ざり合い、それでいてホラーでした。
土着といえば良いのか、その地に根付いたものが物語の土台としてある力強さを感じます。
読み始めたとき、「八束さんの百合だー!」ぐらいのテンションだったのですが、読み終えた時には「八束さんの、百合だ……」となりました(笑)
少女たちの愛の囁きとぶつかり合いと、記憶が失われた故の恐怖と謎めく日々……。
とても面白かったです!