9、退行


私の幼馴染はよく泣く。


それはもう、頻繁に。


小学生になっても。


中学生になっても。


そして今日も。



最近は随分頑張って泣かないようにしていたみたいだが、後輩が出来て私にべったりし始めた途端、これだ。



「……君が一番だから、泣かないでよ」



首にしがみつく腕は高校男子のそれになっていたが、顔に擦り寄る髪の毛の柔らかさは昔のままで。


だから私は、何度となくその髪を撫でる。

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