308話 「プライリーラは甘いミルク味 後編」


「…むくり、ごしごし」


「あっ、サナ!! よかった! 目を覚ましたんだな!!」



 命気風呂に浸かっていたサナが、むくりと起きて目をごしごしさせている。


 その元気な姿にアンシュラオンは大歓喜である。



「サナ、今回は本当にがんばったな。よしよし、よしよし! なでなでなでなで!」


「…こくり」



 まだ眠そうだが、返事もしっかりするので問題はないようだ。


 サナはあの黒い世界に生きている。


 意思が無いということは、あらゆる精神攻撃も通じないということだ。反応するものがないのだから当然である。


 だから基本的には精神が損傷することはない。ただ、神経組織は普通の人間と同じなので、その器官が破壊されると動けなくなるのは常人と変わらない。


 その点で心配したが、とりあえずひと安心である。



「いやー、よかった。ぺろんっ。ふーー、こんなに焦ったのは初めてだよ。ぺろんっ。よしよし、良い子だ。なでなで、ぺろん」


「くっ!! 舐めるか撫でるか…どっちかに…くふっ!」


「オレは欲しいものは両方手に入れる! やりたいことも同時にやる! ぺろぺろぺろぺろぺろっ!」



 サナを撫でながらプライリーラも舐める。


 両方とも至福の瞬間なのだから、同時にやるのが男気であろう。



「ふううっ…ふうううう! あっ!! 待って…あはぁああああ!!」


「ほら、イクときはちゃんと『イクぅううう』って言わないと駄目でしょ?」


「そのような…ことは…はあっ!! うはっ!!」



 ビクビクビクッ


 股間を舐められているプライリーラが、また達した。


 身体を痙攣させてひくつき、アンシュラオンにとって素晴らしいご馳走を提供する。



 ぶしゃー とろんっ



「おっ、【蜜】が出てきたぞ。美味そうだな! ちゅうーーーー!」


「やめろやめろやめろ!! 吸ってはいけないのだ!」


「こんな甘い蜜を吸わないなんて罪だね。オレはアリの気持ちがわかったよ。アリさん、最高ーーー!」



 アリがアブラムシを助けて甘露をもらうが、なるほどなるほど、これは実に素晴らしい報酬である。何度舐めても飽きない。


 身体を舐めてもミルク味だが、この蜜はさらに濃厚なエキスであり、アンシュラオンがゾクゾク震えるほど甘い。



「くううっ! キスもまだなのに…こんなところにキスされるとは…!! な、なんたる…屈辱!」



 当然、吸われているプライリーラからすれば羞恥の極みだ。白い肌を桜色に染めて身悶えるしかない。


 なにせ処女。ファーストキスもまだなのだ。


 と、迂闊にもそんなことを言ってしまった。



 この男の前でそんなことを言ったら―――



「そうなんだ。そっちももらい!! がぶっ!!」


「むぐっ!!」


「ちゅーーちゅうーー。ほら、ベロ出して」


「むううっ、ぷはっ! 待て…駄目…んんんっ…はぁあ! し、舌が…痺れる! 何を仕込んだのだ…」


「何も仕込んでないって。これがオレの唾液の味だよ」


「な、なんだと…これはまるで…んんっ…」



(身体が言うことを聞かない…! 舐められていたときもそうだが…このキスもそうだ。抵抗できなくなる…!)



 プライリーラはサナが目覚めるまでの二時間、ずっと股間を舐められていた。


 その間も抵抗しようとがんばっていたのだが、身体がまったく言うことを聞かずにされるがままであった。


 もちろんアンシュラオンのテクニックが凄まじいこともある。


 最初は一定のリズムで舐めて身体に覚えさせつつ、次第にフェイントを交えてタイミングを変えてくるのだ。


 そうすると「次はこのタイミングで来るから、力を入れて我慢しよう」と思っていても、それが来ないので「あれ? どうして?」と気を緩めた隙に、一番感じる場所をぺろんと舐めてくる。



 それによってプライリーラは、いとも簡単に達してしまった。



 姉に仕込まれた技術は偉大で、耐性のない処女ならばちょろいものである。



(自分でやるのとはまったく違う…! 舐められるのが…こんなに気持ちいいとは! しかし、慣れすぎだぞ…! どれだけ舐めてきたのだ!)



 羞恥と同時に変な嫉妬心も感じるから、乙女心は面白い。


 ただ、プライリーラが感じている快感は、単にアンシュラオンのテクニックだけが要因ではない。


 シャイナやサリータとしたときもそうだが、彼の中の魔人因子が人間を支配しようとする際、快楽物質を出していることも大きな要因だ。



 この世の中で、快感や快楽というものは非常に重要である。



 人間が進化しようと思うのも、そこに達成感という快感が存在するからだ。寄付をして満足するのも、自分が誰かのために役立ったという満足感によって快感を得るからである。


 魔人因子は、肉体的接触によってそういった快楽を提供することで、自然と相手を引き寄せる実に怖ろしい【麻薬】である。


 それによってプライリーラは、次第に抵抗する気力が失われていくのだ。



 ちなみに当然だが、男に対しては効果がない。


 『姉魅了』や『年下殺し(恋愛)』スキルのように、アンシュラオンの魔人因子は完全に覚醒していないため、その多くが女性に対してのみ効果を発揮している。


 パミエルキのようにほぼ完全に覚醒すれば、男女問わずに力を発揮するのだろうが、アンシュラオンからすれば男に接触するなど罰ゲームに等しいので、このままでいたいと熱望するだろう。


 そして、そういう願望が彼の力を女性だけに限定させている、ともいえる。




 一方、アンシュラオンはこんなことを考えていた。



(やっぱり武人の女性は…美味い!! たまらんな! ゾクゾクするぞ! ホロロさんやサリータは従順でよかったが、こちらはまた違う感覚だ。強い獲物ほどオレを満たしてくれるんだな)



 自分がプライリーラに惹かれた(喰いたいと思った)のは、彼女が非常に美味しそうに見えたからだ。


 その予想通り、プライリーラは実に美味い。


 舐めているだけでも甘いミルクの味わいがする。地球時代に食べたミルク味の飴を舐めている気分だ。


 舐めれば舐めるほど力が満ちていくような気分になるのだ。


 そしてそれは錯覚ではなく、事実である。



 これは魔人因子が、武人の女性から因子を吸収しているからだ。



 べつに本当に因子を奪っているわけではない。これによってプライリーラの因子が減るわけではない。


 しかし、こうして魅了物質を相手に送ることで自分の【支配力】が増すので、それが【旨味成分】として感じられるのだ。


 アンシュラオンには、この世界の女性全般がやたら綺麗で美味しそうに見えているが、それ以外の人間同士からすれば普通の存在にしか見えない。




 【捕食者】と―――【被食者】の関係。




 人間の女性を支配する白き魔人にとっては、彼女たちは美味しい存在なのだ。


 快楽を与え、支配する。支配されるほうも快楽に酔いしれ、強い力に守られることで幸福感を得る。


 この甘美な関係には、いくらプライリーラとて簡単に抵抗できない。


 次第に心も身体も幸福感で満たされ、「この者に従いたい」と思いたくなる。まさに麻薬である。





「ねぇ、何回イッた? ぺろぺろは相当気に入ったみたいだったね。けっこうイッたでしょう?」


「それを…私に訊くのかい? と、普通に胸を揉んでいるね」


「だって、胸も好きだし。だいたいわかるけど…15回くらい?」


「今のキスで16回目だよ」


「ふーん、やっぱり強い武人だからかな。まだまだ平気そうだね。うちのスレイブの子たちなんて、すぐにダウンしちゃったよ」


「そうでもないが…普通の者よりは…そうかもしれない…な」



 これもアンシュラオンの予想通りである。


 普通の女性ならば、16回も達していれば感覚自体がなくなっているだろう。それでは長く楽しめない。


 しかし武人の因子が強く覚醒していると、それだけ耐久力がある。身体も強い。


 特にプライリーラはかなり強い武人である。ホロロたちならば相当の手加減が必要であるが、彼女に対しては普通に接触が可能だ。



(これは久々に楽しめそうだな。と、その前にだ。もっと完全に屈服させておかないとな)



「プライリーラ、これから君を本格的に犯すよ。だからその前に、君の中の【獣】を呼び出そうと思う。そうでないと意味がないからね」


「あっ…」



 ざばんっ


 ぐいっとプライリーラを引っ張り、ひっくり返す。


 この体勢は、いわゆる後背位と呼ばれるものだ。



「な、何をするつもりだ!? こ、こんな格好で…」


「このほうが、より動物的かなって。さて、プライリーラ。舐めていたときは快感とショックが大きくて頭が働いていなかったようだが、今は少し落ち着いただろう? もっと状況をよく思い出してごらんよ」


「状況…?」


「そうだ。君は負けた。負けたら全部を奪われるのが荒野の掟だ。見てごらんよ。君はもう何もない裸だ。君が持っているものはその身体一つ。今まで手に入れたすべてを失ったんだ。守護者はもういない。死んだ」


「ぎ、ギロード…私の親友が……そうだ…彼女は…死んだ……殺されたのだ」



 そう言われて、ようやく状況を思い出す。


 自分が子供の頃からずっと一緒にいたギロード。まさに家族であり、一番心を許せる相棒である。



 それが―――死んだ。



 負けて、バラバラにされて、最後は頭まで消滅させられた。



「そう、あの馬は死んだ。オレが殺した。君はこうして美味しくいただけるけど、あいつはオレにとって生かす価値がないから殺した。馬になんて興味がないしね」


「はぁはぁ…ギロードは…私の……」


「あっちを見てごらん。あの十字架だ」


「十字架…? なぜあのような場所に…―――っ!! あれは…まさか!!」



 なぜ気付かなかったのだろう。


 傷が癒されたことと、快楽を与えられたことで意識がぼんやりしていたのだろうか。


 それにしても、ありえないことだ。自分がギロードと彼のことを忘れているなんて。



 その氷の十字架には―――老執事。



 自分が一番信頼するアーブスラットが氷付けにされてはりつけにされていた。


 あまりの衝撃的な映像にまったく言葉が出ない。



「あいつは強かったよ。自分の寿命まで犠牲にして君を守ろうとした」


「じ、爺は…!! 生きているのか!? 殺したのか!?」


「ん? 死んだかな? いや、どうだろう。直接技を当てていないから、もしかしたら生きているかもしれないね。ただ、あの中だと細胞操作もできないだろうし…死んでるかもね。わからないや。あいつもオレにとって必要ないし、どっちでもいいよ」


「ふざけるな! 私の大切な家族だぞ!! 爺!! 今行くぞ!」


「おっと、自分の立場を忘れてもらっちゃ困るな。君は今、オレが捕まえているんだ。わざわざ狩りをして捕まえた獲物だ。このままここで犯される運命なんだよ。そういう約束だっただろう? これは君も了承済みだ」


「くっ…そうだが…くそっ!! すべては私のミス…だというのか…。だが、まずは爺を…!」


「おっとっと、動いちゃ駄目だよ。もみもみ。うむ、いい乳だ」


「そんなことの前に爺を…爺を助けなければ!!」


「だから駄目だってば」



 プライリーラはじたばたと暴れるが、後ろから覆い被さって乳を揉んで妨害。


 こんな上物の獲物を逃がすなんてありえない。



「は、放せ! あとでいくらでもやらせてやる!!」


「信用できないな。オレは欲しいものは好きなときに食べる。そうやって生きてきたし、これからもそうする。それ以前にオレが捕まえているんだから、君に選択肢なんてないんだよ」


「は、放せ!! ううううっ!! 放せ放せ放せ放せ放せぇええええええ!!」



 ボォオオオッ


 プライリーラから戦気が放出され、束縛から脱出しようとする。


 だがアンシュラオンは、さらなる強い力でそれを抑え込む。



「はははは! まさに暴れ馬だね。それくらいじゃないと面白くないよ。活きのいいメス馬に乗るのが夢だったんだ。どれどれ…ここはもう準備OKかな」


「っ!! ま、まさか…や、やめろ!! 今はそれより…」


「それじゃ、たっぷり楽しんでくれ。いけ! マイボーイ!!」



 プライリーラの穴を広げ―――インッ!!



 アンシュラオンJrが、すでに二時間も舐められてトロトロになっている穴に、突撃リポートを敢行!!



 ズブズブズブズブッ!!



「あぁあっ!! はぁあああああああああ!!」


「んっ…おおっ!! いいぞ! まったりと絡み付いてくる! 本当に処女なのか? 身体の中までバターじゃないか! いいぞ、これは楽しい!!」


「はっはっ! 待って…爺を……たすけ……あはっ!」


「そんなに行きたければ、強引に行けばいいよ。ほら、抜け出してごらんよ」


「はぁはぁはぁっ! ううっうおおおおおおおおおおおお!!!」


「ほいほいほいっ! パンパンパンッ!」


「あああ! はぁはぁああああああ!! ううはあぁあ!!」



 プライリーラはさらに戦気を放出して、力づくで脱出しようとする。


 が、突かれるたびに凄まじい快楽が脳まで響き、身体全体が硬直して身を任せたくなる。


 そのせいで気合なのか嬌声なのか、よくわからない声を出してしまう。



「はぁはぁっ!! ああーーーー!! こんな…もの…でっ…はああ!」



 だらだらと口からよだれが垂れるも、なんとか気持ちをとどめて耐える。



「おお、やっぱりすごいね。普通の子なら、この段階で気絶だよ。プライリーラは本当に極上だな。これなら普通にセックスできるかもしれない。うひゃひゃっ! ようやく遠慮なくやれるぞ!! ずっと我慢してきたんだ! たっぷり楽しませてもらうからね!」


「はぁはぁっ! 抜け出して…みせる!!! うううっ…ううううっ!! こんな屈辱を受けて…黙ってなど……いられない!」



 マングラスに対抗できると思った。自分の力があれば、戦獣乙女ならば何でもできると思っていた。


 だが、それは浅はかだった。何も知らない乙女の妄想だった。


 ギロードが死んだのは自分が愚かだったからだ。アーブスラットも自分の策のせいで巻き込んでしまった。


 そんな自分が、ショックと快楽になど負けてはいられない。


 この状況から抜け出すために、自分の中からすべての力を出さないといけない。


 せめてアーブスラットだけは助けねばならない。そうしないと自分はもう生きてはいけない。



 探す、探す、探す。



 自分の中にある力を探す。




 そして―――彼女の本性が、少しずつ出てくる。




 哀しみやショックから、怒りの感情へ。


 それが彼女の中にいる凶暴な獣を呼び覚ます。


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