307話 「プライリーラは甘いミルク味 前編」


 アンシュラオンは、サナを大切に抱きかかえながら元の場所に戻る。


 腕の中に感じる彼女の体温と心臓の鼓動に、ほっとする



「すりすり。ごめんよ、サナ。今回は少し激しすぎたよな。次はちゃんと調整して強くしてやるからな。…っと、あれは裏スレイブか?」



 サナを撫で、歩いていると―――死亡した戦罪者を発見。


 五人ともアーブスラットの死痕拳によって死亡している。



「ふむ、裏スレイブはしっかりと最期まで命令を聞くんだな。こいつらはギアスがかかっているから当然だが…やっぱりギアスはいいな。早くオレも自分で使いこなせるようになりたいもんだ。…ん? あっちはマタゾーか? あいつも死んだのかな?」



 遠くで倒れているマタゾーがいたので近寄ってみる。


 全身が焼け焦げており、目も腕も欠損している。ここで壮絶な戦いがあった証拠である。



「こいつもサナを守ったのか。それとも自分の欲求に従って戦ったのか? どちらにせよ時間を稼ぐことはできた。人間失格のお前たちにしたら上出来だ」



 正直、裏スレイブにサナを任せるのは怖い面がある。


 もともと駄目人間どもであるし、死ぬまでこき使うのは初めてだから、どこまでやれるのかわからない。モヒカン任せではギアスの精度も心配だ。


 ただ、今回のことで裏スレイブはなかなか律儀であることが判明。


 これならば問題なく計画を進められるだろう。



「魔獣や虫に死骸を食われるのも嫌だろう。せめてオレが焼き尽くしてやるよ」



 ボシュッ


 最初から彼らなどいなかったといわんばかりに、五人の戦罪者が一瞬で掻き消える。


 何も残らない。使っていた剣すら同時に消滅する。


 これが裏スレイブの人生。


 誰にも覚えられず、誰からも感謝されず、使い終わったら消えていくだけの存在だ。


 しかし彼らはそれで満足だっただろう。愛らしいサナのために死ねたのだから最後は満足したに違いない。



「人生なんて所詮は自己満足さ。お前たちが満足したなら、それでいい。他人が作った成功論に騙されなかったお前たちは勝ち組だよ。それだけはオレが保証してやる。さて、あとはマタゾーを…ん? こいつ、まだ生きているのか? …これは命気か?」



 マタゾーを弔おうとした瞬間、彼の体内から馴染みの感覚を感じる。



 それは―――命気。



 自分の気質なのだから間違えるわけがない。


 どうやらマタゾーは、サナがあげた命気足のエネルギーによって、かろうじて生きながらえたようだ。


 見た目はかなりボロボロだが、心臓と脳は生きている。



「どうりで命気足の消耗が激しいと思ったよ。マタゾーにも分け与えていたんだな。危ないことをしたもんだ。命気足はお前のために作ったもんなんだぞ。こんなやつらより自分を大切にしないと駄目だよ」


「…すー、すー」


「…こういうときのサナは頑固だからな。言って聞くような子じゃないか。どうしてこんなやつらに情をかけるんだろうか。オレには理解できないが、お前がそうしたいのならば仕方ない。サナがやりたいことができるように、命気足をもっとバージョンアップすればいいんだ。それだけのことさ。…しかしほんと、虫にも優しい良い子だなぁ」



 アンシュラオンからすれば、裏スレイブは虫程度の存在だ。


 いくらでも勝手に湧いてくるし、いくらでも用意できる。いくら使い潰しても問題ない。


 かといって意味もなく虫を潰す趣味はない。ゴキブリを見かけたら不快なので殺すが、懐いたコオロギの群れを無理やり踏み潰す必要もないだろう。


 サナに虫を労わる心があるのは良いことだ。兄として保護者として喜ばしいものである。


 むしろ姉のように積極的に潰すようになってほしくはない。


 ただ、虫のために命を失うことになっては本末転倒なので、そのあたりはおいおい理解させればいいだろう。


 まだ子供だ。これから多くを学べばいい。



「欠損部分がどうなるかわからないが、サナを助けた褒美として助けてやるか。どのみち、もうすぐお前たちの役割は終わる。生きている限り、戦って死ぬといい」



 マタゾーも命気水槽に入れて回復を施してやる。


 目の部分の欠損がかなり激しいので、もしかしたら片目は失われたままになるかもしれないが、再び戦えるくらいには治せるだろう。


 もう少し肉片が残っていれば完治も可能だったが、こればかりは仕方ない。




 マタゾーはそのまま命気水槽で放置して、今回の目玉商品である【戦利品】を拾うことにする。



 戦利品とは―――プライリーラのことだ。



 気を失って寝かされている彼女のところまで行き、ここでも命気水槽を作る。



「うーん、ただ作っても仕方ないな。ちょっと豪華にするか」



 パキパキパキッ


 命気で土台を作って結晶化。そこに同じく命気結晶で作った柱や天井などを加えると、即席の小型神殿のようなものが生まれる。


 その祭壇部分に広めの風呂を作って、温めた命気水で満たす。


 夕焼けに命気水晶が反射して七色に輝き、なんとも言えぬ美しい光景が出来上がる。


 突如荒野に生まれた謎の祭壇。実に不可思議な存在だ。



 そして、それは本当に―――【風呂】のためだけに作ったものだ。



 仮にこれが数百年後発見され、学者の間で論争になったとしても、よもや「風呂(卑猥目的)のために作られた」とは誰も思わないだろう。


 無駄なところに手間隙をかける。これも職人根性である。




「うひゃひゃひゃひゃっ!! 楽しいお風呂タイムだぞー。サナも一緒に入ろうねー」



 それはもう幸せの絶頂といった表情でニマニマ笑いながら、まだ寝ているサナの服を脱がす。



「ああ、サナちゃんはやっぱり可愛いなぁ。この微妙に浅黒い肌がいいんだ。すりすり、すりすり。はー、ええのー。すーーーはーー、すーーーはーー! くーーー、仕事終わりの最高の一杯だね!!」



 裸サナ吸いは最高の味わいだ。


 少し汗が滲んだ匂いがするが、もともとの濃厚な香りがブレンドされ、さらに深みを感じさせてくれる。身体中がサナで満たされるようだ。


 他人が見ればドン引き以外の何物でもないが、当人にとってはこれこそ至福の瞬間である。


 どぽんっ


 そのまま先にサナをお風呂に浸からせる。回復効果もあるので、このまま眠らせておけばいいだろう。



 それから寝ているプライリーラを抱え、意気揚々と運ぶ。



「うひょー、楽しみー!! どんな味がするんだろうなぁ!! 荒野で拾ったんだから、これはオレのもんだよな!! ひゃひゃひゃ!! たっぷり楽しんでやるぜーー!」



 村娘をさらってきた山賊のような発言をしながら、肌がただれているプライリーラを命気風呂に入れる。


 風呂は大きめに作ったので、自分を含めた三人が入ってもまだまだ余裕がある。



 どぷんっ じゅうう



 風呂に入れたプライリーラの肌が、本来の白い輝きを取り戻していく。



「さすがに痛々しい姿じゃ燃えないしね。女性の肌は健康で美しいほうがいい」



 ぬるりぬるりと、プライリーラの肌に粘ついた命気水を塗っていく。


 その手付きは姉に仕込まれた通り、実に洗練されていて慈悲深い。女性への愛情がこもっている。


 この傷を付けたのは自分であるが、生粋の女性好きである。女性は尊い存在なので優しく優しく傷を癒す。



「綺麗になったな。汚れも落ちたし。うむ、改めて見ても極上の獲物だ! 大収穫だよな! それじゃ、ちょっと味見しようかな。はてさて、どんな味かなー?」



 パーティー前のケーキ作りで、たまたまホイップクリームが手に付いたら、思わず舐めたくなるだろう。



 そんな心境で―――ぱくり。



 プライリーラの肌に噛み付く。



「あむあむっ…んん? んーー、ちゅうちゅうっ…はぐはぐっ。ちゅっちゅっちゅっっぢゅーーーー! …うむ、甘い。プライリーラは甘いぞ!!」



 きめ細かい肌を舐めると舌につるつるの感触があり、それから妙な甘さが残る。



「これは何の味だ? 気になる…気になるぞ!! もっと吸わねばなるまい! ちゅっちゅっーーーーずずずずずっ」



 当人が寝ていることにかこつけて、遠慮なく吸う。口の跡が残るくらい吸う。


 彼女の成分が口一杯に広がったので、それを舌で転がしながら味わう。



「むぅう…なんと表現すればいいんだろうな。まったりべったりと舌に残る甘さだ。…これはどこかで味わったことがあるぞ。この匂いもそうだ。くんくん、ぺろぺろ。ふーむ、ハチミツとか水飴とかじゃないな。そっち系じゃない。もっとこう…ミルク系だな。甘いバターのような…そう、たとえばクッキーを食べた時に残る後味のような…まだちょっとよくわからないな」



 べつに無理にプライリーラの味を表現しなくてもいいのだが、はっきりさせないと気が済まない性格でもあるので、じっくりと味わう。




「腕だから駄目なんだ。せっかくだ。乳を吸おう」



 せっかく胸があるのに腕を吸うなんて、おっぱいに失礼だ!!


 というのがアンシュラオンが提唱する礼節である。人としては賛同しづらいが、男であれば否定もしづらい説だ。



「うひゃひゃっ!! いただきまーす!! 乳だ! オレのもんだ!!」



 もにゅり かぷっ!!


 大きな胸を両手で掴み、一気に乳房に、もっとはっきり言えば乳首に吸い付く。


 大きく口をあけて全部を飲み込む。



「ちゅーーちゅっーーー。むっ!! こ、これはっ…!! むうううっ! ちゅっちゅっちゅっーーー! むふむふっ!! ちゅっちゅっ!! むほほっ! ももふふを!! むほいほおおっ!!」



 何かを言っているようだが、乳を吸っているのでよく聴こえない。


 話すときは吸うのをやめてからにしてほしいものだ。話すときは口の中のものを食べ終えてから、と同じである。



 それから数分、無我夢中で吸っていた。やりたい放題である。



「ぷはっ!! これは良い!! 素晴らしい! 深いミルクの味わいがしっかりと出ている! 超濃厚ミルクだ!! なんだこれは! プライリーラは身体中が甘いのか!? ちょっと待て! 落ち着け! サナちゃんはどうだ? ぺろんっ」



 隣で寝ているサナも、ぺろんと舐める。



「…う、美味い。サナはやっぱり美味いな。こっちも甘い。舌にじっとりと残る甘さは格別だ!! うーん、表現しづらいが…サナが饅頭まんじゅうや大福の『こしあん』だとすれば、プライリーラは砂糖菓子かな? 和風と洋風といった感じだろう。おお、我ながら素晴らしいたとえだ! そうだよ! そうだ!」



 言っておくが、女性の肌を舐めた感想である。


 もうこの男の変態化は止められない。なぜならば最初から変態だからだ。


 実姉とイチャラブして暮らしたいと願うような人物である。まともなわけがないのだ。




「乳以外はどうだ? 髪の毛は…はむっ! うむ、こちらもいいぞ。耳も…はむっ!! 首…と見せかけて、もう一度乳をはむっ!! ちゅっーーー! 美味い!」



 なぜ見せかけたのか、誰に対してそうしたのかは謎だが、実に楽しそうである。



「じゃあ、次は…うむ。ここの味も見ておくか。大事なところだからな。念入りに調べねばなるまい」



 プライリーラの腹を撫でながら、さらに下に手が伸びる。その先には【女性の本質】が存在する。


 軽く触ってみると、つるりとした感触が手に残った。



「おや? 毛がないな。つるつるだ。剃っているってわけじゃないのか。単に生えていないってことかな? まあ、なくてもいいしね。というか…姉ちゃんもなかったかな? おや? そういえば…ホロロさんやシャイナたちもなかったような…」



 ふと思えば、女性の下の毛を見ていない気がする。


 自分の下腹部にも陰毛は生えていないので、無いことが当たり前に思ってしまっていたが、地球時代を考えれば違和感が相当ある。


 地球で暮らしていた頃、陰毛をバリカンで整えていたらうっかり手が滑って、片側をごっそり剃り落としてしまった記憶が蘇る。


 あの時の喪失感は半端なかったものだ。何かが足りない感じに戸惑ったものである。


 が、それが当たり前の世界ならば、無いのが自然なのだ。



「これも美化された世界ってことなのかな? よくわからないが、どうでもいいや。エロゲーだって描く人のほうが少ないしね。じゃあ、こっちも味見しようかな」



 プライリーラの股を広げ、その場所を手でいじくったあとに―――



「あーーーんっ」



 口を開ける。


 この男、やる気である。やってしまう気である。さすがだ。


 やはり直接吸ってみなければ本質はわからない。これは相手を知るために重要な行為なのだ。たぶん。きっと。おそらくは。




 そして、アンシュラオンが口をつけ―――ようとした瞬間、ぐいっと頭に何かが乗った。




 たぷんとした柔らかいもの。乳が頭に乗っている。


 乳が勝手に動くように進化したのかと思って見上げるが、そんなわけはない。



「…待ちたまえ。何をしているのかな?」


「あっ、起きたの?」



 そこには、まだ寝ぼけて目が完全に開ききっていないプライリーラがいた。


 どうやら目覚めたようだ。これだけ好き勝手やっているのだから当然だろう。



「…で、何をしているんだい?」


「プライリーラの味見をしようかなって」


「そこの?」


「うん、ここの」


「君は寝ている婦女子の股を舐めて楽しむ趣味があるのかい?」


「うん」



 肯定である。迷いがまったくない。



「だって、美味しいじゃん」


「そ、そうなのか?」


「プライリーラの乳は美味しかったよ」


「寝ている間にそんなことまでしていたのか!! 君って男は、相変わらずケダモノだな!!」


「うん、ありがとう。じゃあ、いただきまーすっ」


「ちょっ! 話を聞きたま―――あふんっ!!」


「ちゅーーーちゅっーーーー」


「ま、待て待て!! うはっ!! ほ、本当に待って…!!」



 寝起きにいきなり吸われる。処女の彼女には刺激が強いだろう。処女じゃなくても刺激は強いのだが。



「なに? せっかく盛り上がってきたところなのに」


「その…なんだ…。こういうものには順序が…」


「そんなものはない!! がぷっ!! ぺろぺろぺろぺろぺろっ!」


「あはんっ!!!」


「ちゅーーーちゅーーーっ!!! うむ、美味いぞ!! これは美味い!! 君は身体全部がミルクで出来ているのか!? メス馬というよりメス牛じゃないか!! どういうことだ! まあ、馬乳もあるが…これはけしからんな!」



 日本ではあまりメジャーではないが、モンゴルなどでは馬の乳を使った馬乳酒というものもある。



「ちゅーーーちゅっーーーー!」


「待て待て待て、あはぁあああ!!」


「ふんふんっ! ぺろぺろぺろぺろっ!!」


「アンシュラ…オン……ま、って…ああああ!」



 その後プライリーラは、サナが目覚めるまでの二時間、ずっと股間を舐められることになるのであった。


 いきなりこれである。先が思いやられる。



 ともかく、プライリーラはミルクの味がするのだ。


 ここ、テストに出るから覚えておくように!


 以上、アンシュラオン先生からのお報せでした。



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