70話 「小百合、最高のエクスタシーの巻」


 サナを二階にある小百合のベッドに寝かす。


 持ち上げている間も目覚めることなく、気持ちよさそうに爆睡していた。



(なんだ、寝ていただけか。びっくりしたな。武人は二日や三日くらい簡単に徹夜できるから、そういうこともすっかり忘れていたよ。サナは普通の女の子なんだ。そこを忘れないようにしないとな)



 一般人の肉体は弱い。面倒くさいと思えるほど管理が必要で、ご飯もしっかり食べないと元気が出ないほどだ。


 武人のように闘争本能さえあれば何とでもなる、といったような便利な存在ではないのだ。



(これからは気をつけないとな。でも、無事でよかったよ。…寝顔も可愛いなぁ)



 すやすやと寝ているサナを見つめる。それだけでまた幸せが込み上げてきた。


 それを見ていた小百合が、少し様子をうかがうように訊ねる。



「アンシュラオン様、その…差し支えなければでよろしいのですが、その子はいったい…? お知り合いですか?」


「おっと、そうだった。こんな夜中にいきなり押しかけてごめんね」


「いえ、いつでも来てくださいと言ったので、本当にいつでも大丈夫です!! 私も嬉しかったですから!」



 小百合は嬉しそうに笑う。


 その顔はまったく迷惑そうに感じていない。とても明るい笑顔である。



(小百合さんの家に来てよかったな。やっぱりお姉さんと一緒だと和むよ)



 改めてここに来て正解だったと知る。


 領主城では特に苦戦はしていないが、精神的に焦っていた面もある。


 おっさん連中はムサいし、女の子はいてもイタ嬢関連だしで、正直心が荒むばかりであった。


 それを小百合の笑顔が癒してくれるようだ。さすがアンシュラオンの嫁の一人である。



「この子はオレの【妹】だよ」


「妹…さんですか?」


「ハローワークを出た後に合流したんだ。今日、この街に着いたばかりでさ、どうやら疲れが出ちゃったみたい」


「そうなのですか! 可愛い妹さんですね! …ああ、こんな可愛い子が私の義妹になるのですね!」



 すでに結婚することが前提。



「今日はぜひ、うちに泊まっていってくださいね!」


「それはありがたいけど…いいの?」


「もちろんです! 大歓迎ですよ!」


「小百合さん、明日の仕事は? もう今日になったかな? 大丈夫?」


「ええ、八時までに行けば大丈夫です。いつもは朝六時起きですね」



(今が午前一時前…。五時間もないじゃないか)



 本当ならば、もう寝ている時間なのだろう。


 アンシュラオンたちを受け入れたせいで、さらに睡眠時間は削られるに違いない。


 それを考えると少し申し訳なく思えてくる。



「睡眠時間は足りてる?」


「そうですね…。最近はちょっと不足しているかもしれません。でも、まだまだ『若い』ので大丈夫です!!」



 若干、若いの部分を強調した。


 たしかにバスローブから見える肌は、さすがに十代の頃とまではいかないが、まだまだ張りがある。


 ただ、二十歳を超えると一気に身体は弱ってくるもの。あまり無理をさせられない。



「そうだ。お礼にマッサージをするよ!」


「マッサージですか!?」


「そうそう、特殊なオイルを使うんだけど、それがもうすごい効くんだ! 一気に身体が若返っちゃうくらいにね!!」


「そ、それはなんと魅力的な!! ぜ、ぜひお願いします!」


「任せてよ!! じゃあ、裸になって」


「はい!」



 そう言って、まったく躊躇せずにバスローブを投げ捨てる。


 清々しいまでに潔い。なんだか小百合がまた好きになった気がする。



(案外、マキさんのほうが恥ずかしがりやかもしれないなー。普段はがさつで強気な女性のほうが、いざってときは恥らうものだからね。そのギャップがいいんだけど)



「隣のベッド、使っていい?」


「もちろんです」


「独り暮らしだよね? どうして二つあるの?」


「…ハローワークの社宅には必ず二つあるのです。夫婦で暮らすのが前提だとか。…憎らしい限りです。何度捨てようと思ったことか…燃やしてやりたいです」



 そんな理由だった。


 便利ではあるが、孤独な人の心をさらに追い込む危険な設備らしい。





 ベッドにシーツを敷いて横たわらせて、小百合のマッサージを開始。


 まずは手にたっぷりの命気を生成。粘度はまさにローションである。



「じゃあ、背中からかな」


「は、はい。ふつつか者ですが、よろしくお願いいたします」


「小百合さんはとっても素晴らしい人だよ。だから、たくさん気持ちよくしてあげるね。はい、べちゃー」


「あはんっ!! あっ、申し訳ありません! 妹さんが起きてしまいますね」


「うーん、大丈夫そうだけどね…」



 サナはまったく反応しない。


 まだ怖いので波動円で常時チェックしているが、身体情報に異常はまったくない。ただ寝ているだけである。


 よほど疲れていたのか、それとも単純に深く眠る体質なのか。どちらにせよこの様子では、何をされても起きないかもしれない。


 今は何もできないので、小百合に集中する。



「続きをやるよ。ぬりぬりぬりー」


「はぁあ!! あはんっ!」


「おっ、いい声! やっぱり大人の女性は違うなー」



 領主城にいた若い子とはまったく違う、成熟している女性の声である。



(ああ、これだよ、これ。こうして大人の女性の肌に触るのも姉ちゃん以来、一ヶ月以上ぶりだよ。やっぱり奉仕はたまらないな!)



 この街に来たときに大人の女性には出会ったが、実際にこうして触れ合うのとは違うものだ。


 しかもアンシュラオンは、女性に対して奉仕をすることで満足感を得ることができる。


 長年、姉に尽くしてきたので、もはやそれが当たり前になっているのだ。それゆえかマッサージも自然と熱を帯びてくる。



「燃えてきたよ。ガンガンいくからね。ぎゅっ、ぎゅっ、肩が凝ってるね。腰もけっこう傷んでいるみたい。座りっぱなしの事務作業だもんね。しょうがないけど、女の人は腰も大事にしないとね。ほーれ、たっぷり命気を吸ってー」



 にゅるにゅる、ずるずるずるー



「あっ、アンシュラオン様! い、いけません! そんなにしたら…あはあ! あんっ、あんっ!! あはああ! 背中が…腰がぁあ! あはんっ!」


「感度もいいね。それにもっと声を出していいよ。声を出してくれると、やるほうも楽しいしね」


「で、ですが、サナ様が…隣に…あはっ! んー、んーーー、んーーーー! ら、らめっ、んーーー!」


「なんか逆にエロくなったね」



 律儀にもサナを気にして声を我慢する。


 が、その姿が逆にエロい。男の嗜虐心を刺激する姿である。



「どこまで我慢できるかな。足をモミモミ、太ももをモミモミ、お尻をぬるぬる、ぐちゅぐちゅっ」


「んふっ!!! んっ! んんんっ!! ぷあっ!!」


「次は表側。ころーん」


「あはっ! そ、そっちは!」


「やっぱり小百合さんのオッパイはいい形をしているね。すごく綺麗だよ」



 サイズとしては中ぐらいといった感じで、Dカップくらいだろうか。


 姉が大きすぎるのであって、一般人ならばこれくらいでも大きいほうだろう。触ると少し手からこぼれるくらいで、実にちょうどよい大きさだ。



「はぁはぁ、そんな…私、見られてる。アンシュラオン様に…見られてる…!!」



 小百合も見られて興奮しているようだ。


 やはりお姉さんに対してアンシュラオンはほぼ無敵である。


 ファテロナのように他の対象に異様な執着を見せなければ、お姉さんには常時魅了効果が発動するのだろう。



 小百合の肌がさらに紅潮し、息遣いも荒くなっていく。



 それを―――もみもみ。



「んはぁあーーっ!!」



 敏感になった乳房を熟練の技で優しく揉んでいく。


 姉に教わった技術を侮ってはいけない。少し触るだけで身体中に快感が走るのだ。もうハンドパワーと呼んでもいいレベルである。



「もーみ、もーみ。うーん、ちょっと硬めかな。普段から自分で揉んでる?」


「い、いえ…んはっ! あまり時間がなくて…あはあ!!」


「そうだよね、忙しいもんね。でも、やっぱり美容は大切だよ。小百合さんは綺麗なんだから、ちゃんとケアしないと勿体ない。まあ、任せてよ。オレはこの道二十年に迫るプロだから」



 ここまでアンシュラオンは、少しばかり手加減をしていた。


 領主城のスレイブの娘たちが、ものの十秒足らずで達してしまった経験を踏まえて、威力をだいぶ抑えていたのだ。


 それに小百合は一般人なので、どれくらいやっていいかで迷っていた。


 だが、それも終わった。これからは本気である。



「次は、命気振動いっきまーす」


「め、めいき振動…? ふぁっ―――!!?!?!?」



 ヌルヌルヌル ブルブルブルブルブル

 ヌルヌルヌル ブルブルブルブルブル

 ヌルヌルヌル ブルブルブルブルブル

 ヌルヌルヌル ブルブルブルブルブル

 ヌルヌルヌル ブルブルブルブルブル



 命気を高速振動させ、身体に浸透させつつマッサージ。


 毛穴から侵入した命気がお肌のお手入れを行い、さらに傷んだ細胞を修復しつつ快感を与えるという、まさに至高のマッサージ。


 姉はこれを数時間やってもまったく平気なのだが、一般人にやるとこうなる。




―――絶頂




「あはぁあ、声が、声が…出ちゃうぅううう! 駄目なのに! こんなに出したら、妹さんが…起きちゃうぅうう! でも、我慢できない! わ、わたし、私…!! あはあああ―――――――――!!」



 ビクビクビクビクッ ビクビクビクビクッ

 ビクビクビクビクッ ビクビクビクビクッ

 ビクビクビクビクッ ビクビクビクビクッ



注意:マッサージです




「あっ、イッちゃった。やっぱり大人の女性でも駄目なんだな。うーん、これは健康なんだろうか。それとも不健康なんだろうか。…難しい問題だな」



 小百合は激しく痙攣し、達する。


 その達し方もいきなり最高の絶頂がやってくるので、普通の段階を経るものとはだいぶ違うものだ。それを考えると身体に悪いのかもしれない。


 が、そんなことを気にするアンシュラオンではない。



「ついでだ。徹底的に小百合さんを綺麗にしておこう。オレの嫁だしね」



 ガクガク身体を震わせてる小百合に、さらに追い討ちのように命気でマッサージを続ける。


 助けてもらった恩は快楽で返す。これがアンシュラオン流のお姉さん限定の恩返しである。



 その後三十分間、小百合は人生で初めての最高のエクスタシーをたっぷりと体験したそうな。



 めでたし、めでたし。


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