欠番覇王の異世界スレイブサーガ

園島義船(ぷるっと企画)

序話 「欠番覇王」


表紙画像

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 【覇王】


 武人という存在が生まれてから、常に覇王は存在してきた。その強さに人々は憧れ、敬愛し、怖れ、崇めるからだ。


 覇王であることは、強さの証である。


 強さそのものは、それだけで多くの人々を惹きつける。


 単身で強さを求め続け、最強の武人になった者もいる。一国の王になった者もいる。商人になって成功した者もいる。


 あるいは、全世界をまとめた【大陸王】のように、本当に世界を統一してしまった者もいる。


 どのような悪行を成した覇王であれ、その名は必ずのこる。善行を施しても、何もしなくても、存在そのものが伝説となる。


 覇王とは、そういう存在なのだ。


 ただし、例外もある。



 ごくごく稀にだが、【欠番】が生じることがある。



 歴史に名を遺すことに、何らかの不都合な理由が生じた場合。または、当人がひたすらに覇王であることを隠していた場合。もしくは、単純に空白の時代に存在した覇王等々、どうしても欠番が生じることがある。


 人々から称賛される偉業を成したにもかかわらず、名が遺らないのは、名誉を求める人間ならば苦痛でしかないだろう。


 それでも自分を消せる者がいれば、まさに自己犠牲の鑑であり、真に尊敬される人物であるといえる。


 まさに英雄であり、完全なる王である証明を、自らの行動で成したのだ。立派である。




―――そう、立派であればよかったのに




 この人物も、そんな高潔な理由で欠番になったのならば、まだ救われた。


 しかし、この男が欠番になった理由は、そういった類のものではない。


 なぜ、そんなことがわかるのか、と思っただろう。


 欠番なのだから、資料が残っていないはずなのだ。


 ならば、我々に遺された口承の一つを、ここに示そう。


 ある男が、山奥で修行していた。覇王になるための鍛錬である。そして、ようやくにして修練が終わり、免許皆伝となった。



「さあ、これからどうする? 何をしても自由じゃ。おぬしの好きにせよ」



 そう師匠から言われた男は、しばし考えたあと、こう答えた。



 それはもう満面の笑みで―――





「はい、これからは、【従順な女の子たち】と一緒に、好きなだけイチャラブ生活を送りたいと思います!!!」





 そして、彼は欠番覇王になった。



 この物語は、欠番覇王となった一人の少年による、ギャグがあり、シリアスがあり、まったくどうでもよく、無価値で、不道徳で、非倫理的で、それでいながら何かの足しにはなるかもしれない、そんなお話である。


 しかし、彼には一つだけ大きな問題があった。



 そう、【姉という存在】が、彼のすべてを狂わせていくのだ。


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