第82話「ここに住む!」
どうもこんにちは。姓は綾瀬、名は実里です。
えー、現状をお伝えします。只今不法侵入した自称学者のアデラとベティに家の中を案内してあげているところです。
自室と両親の部屋に鍵をかけて後は放置しようとしたらブラッドとエイミーに正座させられ説教されました。謎です。
「不法侵入されたんだから怒れ!それとちゃんと鍵閉めろ家主!」
「経緯はどうであれ一応今はお客さんよ、自分で案内しなさい」
と言われて渋々案内することに。
私だけに任せるのは不安しかないからと二人も一緒についてきている。ルイスも私の横にべったり引っ付いて離れない。ちょっぴりアデラの熱視線にたじろいでいる。
「わー!すっごい精巧なシャンデリア!ミノリのいた世界ってこっちじゃ考えられないくらい技術が発達してるのね!」
客室を覗き、この世界にはない現代の技術の一端を目の当たりにして興奮冷めやらぬ様子のベティ。見たことない物は何でも興味を持つっぽい。
「こっちの世界でも少しは同じ物作れると思うよ?」
「ホントに!?」
「職人を育てるところから始めるからかなり時間かかるけど、できないことはないよ。あと一応聞きたいんだけど、こっちの世界って電気の謎は解いた?」
「デンキ?何それ?」
「あっちの世界の技術に欠かせないもの。もしこっちでも電気の謎が解けたら、さっきのCDコンポやエアコンもこっちで作れるようになるよ。配線コードとか部品の組み立てとか大変だからこれまた時間かかるけど」
「やる!解く!死ぬ気で頑張る!!」
いや死ぬなよ。
見たことない現代の技術を自分の手で解明して作り上げるのが何より楽しみだとその表情が物語っている。
「あの音楽が流れる箱と涼しい風が吹く細長い箱のことか」
「風が吹く道具は便利ね。夏にはもってこいだわ」
「冷暖房だから温かい風も出るよ」
「マジか!そいつぁすげぇな!」
「そんな便利な物で溢れてるなんて……異世界の人間は天才なのね」
快適な環境をつくるために貪欲になった結果だよ。
一通り見て回ったが、ベティのみならずブラッドもエイミーも興奮したり感心したり忙しかった。今まで家の中ちゃんと見せたことなかったもんね。
あとアデラ、皆と同じく部屋を見回すフリしてさりげなくルイスをロックオンするの止めなさい。この子戸惑ってるでしょうが。
アデラは便利道具に興味がない訳ではないがそれよりも生き物を観察するのに夢中って感じだ。
幻の種族と言われる地竜だけでなく純血な人間である私にもチラチラ視線送ってるし。
アデラは生物学者で、ベティは多分物理学者とかその辺かな?強く興味を惹かれる事柄を考えるに、外れてはいないだろう。
書斎に生物学と物理学関係の本があったはずだからあとで貸してあげるか。
「よし決めた。私ここに住む!」
耳が疲れたのかな。なんかトチ狂った台詞が聞こえてきたぞ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます