第72話「まずは武器調達」

仕事に行ったエイミーを見送ってから、まず最初にブラッドのところに向かった。


いつも通りめんどくさがりが発動して窓から飛び降りたら、一仕事終えたブラッドに偶然見つかって何故か説教された。


エイミーのように空を飛べる訳でも自分達のように異種族の血が混じって少しばかり頑丈な身体でもない普通の女の子が危険なことをするなと。


2階から飛び降りるのは危険じゃないと思ったけど大人しく説教を聞いていた。


右から左に聞き流したとも言うけど。



「実はブラッドにお願いがあって」


一通り無意味な説教をくらった後、本来の目的を話す。


「珍しいな。で、なんだ?」


「害虫駆除したいから武器貸してほしい」


「どうしてそうなった!?」


あ、前後の文脈繋がってない。これじゃなんのことか分かんないよね。


「エイミーが巨大生物の動きが活発になってるって言うから、ちょっと撲滅して来ようかと。でも武器なんて持ってないから貸してほしい」


改めて詳しく説明。


前半はブラッドも初耳なようで軽く首を捻っていたが、すぐにああそういうことかと納得顔で頷いた。だが私が直接動くことには鳩が豆鉄砲くらった顔になって私を凝視した。


「常駐自宅警備員のミノリが……日中自ら面倒事に首突っ込むだと……!?」


おいブラッドさんよ。


驚くのは分からんでもないが、そこまで私の評価最底辺なのかい?


じとーっとした目を向ければすぐにハッとして「す、すまん」と謝った。


「武器が必要なんだったな。一応弓と剣はあるが、どっち使う?」


「両方で」


「……弓だけでなく剣も使えるのか」


「まぁそれなりに」


平和な日本でそんな物騒なもん使える訳がない。銃刀法違反だし。


正しくは竹刀を使った剣道だ。昔習ってたんだよね。竹刀と剣じゃ使い方は異なるけど、そんな大した問題じゃない。


玩具の棒切れが殺傷能力のある金属にすり代わっただけだ。



ブラッドから借りた剣を同じくブラッドから借りた革製のベルトに装備し、弓と矢は背中に装備。


これで近距離戦も中距離戦も可能だ。


「なんか、両方装備するとちょっとカッコ悪く見えるな……」


「いいんだよ。別に戦闘職を生業としてる輩みたく戦闘スタイルを決めてる訳でもないんだから」


「んん……まぁ、戦闘方法が増えればそれだけ生存率が上がるしな。多少見た目悪くても仕方ないか」


「そんじゃ昼過ぎくらいには帰って来るから」


「あんまり遠くには行くなよ?知らないやつについて行ったら駄目だぞ?もし迷子になったら近くのやつに聞けよ?」


私は子供か。


「わーったわーった。んじゃ今度こそ行ってきまーす」


「おう、気ぃつけてな」


ブラッドに背を向け、ハルバ村へと続く一本道の途中から森の中へと溶け込んでいった。


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