第14話「野宿も悪くない」

アレンは黒髪で真面目そうな髪型をしたサファイア色の瞳が特徴的なイケメン。


クラークはふわふわの柔らかそうなちょっぴり長めの茶髪でパッと見遊び人ぽい髪型をした黒曜石のような瞳を持つイケメン。


見た目正反対な二人。だがどちらも美形。


こんなド田舎に美形が二人も揃うってなんだか不思議よね。


「ミノリちゃんは、あの家の住人でしょ?」


クラークがあの家、と指差したのは外から見たらめっさデカい私の家。


こくりと頷いたら「やっぱりねぇ」と軽く微笑んだ。


「びっくりしたよ。本を仕入れに近くの村に行こうとしたらいきなりあんな大きな家が目の前に現れてさ。あそこ、ちょうど村の入り口だから困っちゃった」


ああ、なるほど。だからアレンは村の住人が迷惑してるとか言ってたわけか。


そりゃ村の入り口が塞がれちゃ迷惑だよね。


じゃあ取り壊すのかな。そのときは枕とアルバムを持って出ていくとするか。私は虫とか気にしないので例え野宿になったとしても枕さえあれば寝れる。多少寝心地は悪そうだが問題ない。


「短い間だったけど楽しかったよ」


「なんで突然別れの言葉!?」


一応社交辞令としてそう告げれば困惑の表情を浮かべたクラーク。


え、だって。


「あの家取り壊すでしょ?なら私出て行かなきゃ」


「待って待って!君の頭の中でどうしたらそんな結論に達しちゃう訳!?」


「村の入り口に突然現れた私の家。当然邪魔。だから取り壊す。私追い出される。ほらね」


「村の恩人を追い出すとか絶対ないから!」


「へー。なら私は近々野宿か」


「だからなんで!?」


「家取り壊すなら野宿しか道はない」


「取り壊す前提!?」


大丈夫。なんとかなるさ。枕さえあれば私は無敵だ。


そうやってクラークと話していたら、クラークとは反対の方の私の隣に誰かが腰掛けた。


「お前ら何騒いでんだ?」


声で分かった。アレンだった。


心外な。騒いでるのはクラークだけだ。




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