第7話 俺って物の怪になってしまったようだよ? (3)
だから彼は、大変に困ってしまって『ワン、ワン』と、鳴きたい状態なのと。
(くそ~。何歳なのか、わからないけれど。俺の目の前にいる年齢不詳の女性に、『お前~! 直せと言ったら、直せ──!』と、怒号を吐きながら。彼女の頬に二発の平手を入れて──。その後は、お尻を数発──! それも生尻で、『パン! パン!』と、平手で叩いてやりたい気分だ……。でも女性相手に手を上げる訳にはいかないから……)
と、こんなことを思っているみたいだ。
でも、女性相手に荒々しいことはしたくないから我慢をするみたいだね。
まあ、今迄、こちらも告げはしなかったが、まあ、物の怪仕様の彼は、自分自身がこれ程不満と愚痴を漏らすように、本当に某男性アイドルグループ事務所に所属をしても可笑しくないくらいの美男子の上に、女性に対しては、幼女から老女……。幽霊、妖怪、精霊に至るまで、分け隔てなく接することのできる、本当に女性には優しい少年なのだよ。
だから彼の目の前にいる、人ではない女性に足しても、こんな醜い容姿にされても怒号を放つのみで。
彼の今の醜い容姿の、大きな両手と足を使用して、不満の言葉の通り、彼女の小さな顔やしなやかな身体に対して殴る蹴るの暴力を振るったりはしない。
う~ん、でもね、彼がそこまで酷い暴言を吐かないし。暴力に打って出ない為だろうか?
相変わらず彼の目の前で、自身の美しい顔をあげ、くびれた腰の両手を当て──仁王立ちをしながら怪物化した少年のことを睨む──。この世の者ではないぐらい美しい年齢不詳の女性なのだが。
まあ、完全に年齢不詳で美魔女仕様だから。これからは美魔女のお姉さまと呼ぶことにする。
まあ、そんな美魔女のお姉さまは、誰もが羨むような美男子の少年に対して、こんなにも醜い容姿にしたにも関わらず、全く気にした素振りや反省の色もない。
それどころか、美魔女のお姉さま自身は、大変に良いこと……。それこそ、世の為、人の為……。世の生きる女性の為に良いことをしたのではないかと、傍から見ているこちらが思うぐらい威風堂々としているのだよ。全く困った者だと、傍から見ている皆が思うくらいにね。
だから、化け物化した少年ではないが、傍から見ているこちらも困ってしまって、『ワン! ワン!』と、鳴きたいぐらいだよ。
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