第107話 何かしら付いてきました? (39)

 だから俺はね、「(今は不味いよ、下の部屋にフレイヤがいるから、町長がばらしているし、いつ二階へ上がって来るかも知れないから)」と、答えたんだよ。それもさ、大変に困った顔をしながらね。

「(はぁ、あああっ? 今何か言った、魔王様? 早く、抱っこは──抱っこ! ……してくれないのなら、大きな声で叫ぶわよ、ここに魔王様が居ますと──)」

 なのにさ、お蝶さんは、こんな無理な事を俺に強気で述べて、更に詰め寄ってくるよ。

「(ええええええっ! マ、マジで困るよ、お蝶さん。今訳を話した通り、この状態は本当に不味いし、うちのカミさんに本当に怒られるから……)」

 だから俺は半ベソ状態でお蝶さんに、もう勘弁してくださいといった感じで述べたんだけど。

「(はぁ、あああっ! 誰がカミさんだって? 誰が? それに "あなた" は、今迄誰と仲良くしていたの?)」

 もうね、お蝶さん、ダメだ……彼女自身も俺の妻だと主張してきたよ。もうこうなると俺はダメなようだ。基本フレイヤにもそうだけど。アマアマをさせてくれる年上の女性には、俺自身 滅法弱いみたいだから……。


「(えっ、いや、お蝶……では無くて、奥様で御座います……)」

 もうね、新たな奥様に逆らえずこんな感じなってしまったよ。

「(ん? ふむ、よろしい♪ じゃ、あなた、おいで──ヨシヨシを又してあげるから……)」

 するとさ、お蝶さんは……ではないね、この後からは、俺のモノになった訳だからお蝶と呼ぶね。


 まあ、とにかくお蝶の御機嫌の良い、様子と台詞を見て聞いてもお分かりの通りで。お蝶自身のモノになった俺を可愛がりたいからと、甘くて優しい声で呼ぶから。俺は「あ~い」と、言葉を発しながら、お蝶のたゆんたゆんに顔を埋めて、縺れ甘えたよ。


 と、いう事が取り敢えずは町で起きたんだよ。


 この血塗られた砦にくる前にね。


 まあ、この後、店の中は大変だったよ。最終的には、うちのカミさんに二階に踏み込まれて、お蝶と一緒に居る所を見られてしまったからね。


 でもさ、案外と余り揉めずに話しも済んで和解したよ。


 まあ、又時間があれば、お店の事件は皆に説明をするからね。


 今はちょっと俺の面前に広がる、この血塗られた惨劇をどうするか? と思案をしている最中だから。


 ではね、一旦皆とはサヨナラだ、又機会有れば話そうね。


 でもさ、本当にこの死体や汚れをどうしようかと悩む俺だよ。



 ◇◇◇◇◇

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