第102話 何かしら付いてきました? (34)

 まあ、自分自身も楽しんだのだから、仕方がないかと諦めたけれど。


「あっ、あのぉ……。女王様、何用で御座いましょうか?」

「……ん? あああ、貴方ですか……この店の店主を知りませんか?」

「えっ? あの、私がこの店の持ち主ですが、何か御用ですか?」

「あっ、そうですか……。確か、貴方はこの町の町長でしたね?」

「えええ、そうですけれど? どうかしましたか?」

「貴方がこの店の持ち主なら話しが早い──今日からこの店は我が国が家臣達の為に接収しますから!」


 何かね、こんな感じの会話が聞こえた気がしたんだよ?


 下の部屋からね、お蝶さんとイチャラブしていたらね。


 と、なると、今度は俺の動きが止まったよ。

「もう~、魔王様、急に止めないでください……」

 お蝶さん、甘い妖艶な嬌声交じりの声で俺に述べてきたけれど。

「しっ、静かに!」と、慌てて自分の口元を指で押さえて述べたんだよ。下の部屋の会話を聞く為にね。


 も、もしかすると、俺が先程から危惧していた人物が着たかもしれないから。息を潜める事にしたのだよ。本当に怖いから……いくら覚悟が出来たとして、いいきなりだと本当に怖いから……。


「ど、どうしたの、魔王様? 顔色が悪い気がするけれど?」


 お蝶さんもね、俺の様子がおかしい事に気が付き始めたから、気になって声を掛けてきたよ。

 だから俺はお蝶さんに、「も、もしかしたら、うちのカミさんが着たかも?」と、顔色を変えながら答えた。


「えっ? 何でフレイヤ様がここに?」

「いっ、いや、何でだろう? 俺自身も良くは解らないんだよ」


 お蝶さんが俺に尋ねてきたから。俺自身も良くは解らないんだと答えはしたけれど。

 本当にね、何でフレイヤはこの店に着たんだろうかと俺自身も思案を始めたよ。

 

 だって、摩訶不思議なうちのカミさんだからね。

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