第98話 何かしら付いてきました? (30)
「えっ、いや、ごめんね。魔王様……。もしかして、かなり傷ついた?」
「うん、かなり、僕は傷ついた」
「そう、ごめんね、魔王様……。お姉さんがヨシヨシしてあげるから、こちらにおいで──」
「あ~い」
と、まあ、この後は、またまたお蝶さんに甘えたよ。僕を傷つけた罰だからと、冗談交じりで述べながら少し激しさを増すと、お蝶さんの大きな嬌声は当分の間は止まらなくなった。
で、終わると、こうも教えてくれた。
「じゃ、この町はフレイヤ様の庇護下に入るの?」
お蝶さんが俺に尋ねてきたから。
「なに、それ?」と、解らないから逆に俺が彼女に尋ねたよ。
するとね、彼女は、何かを思い出すように、少し悩んだ顔をしながら、口を開き始めた。
「う~ん、えとね……。フレイヤ様は美と豊穣神の女神様だよね?」
「うん、確かそうだった思う?」
「という事はね、美は男性には関係が無いとは思うけれど。豊穣神の神様の加護は商売繁盛だし、作物が良く実るから。加護のある地域は、飢餓や疫病、干ばつの恐れもないから、民がみな豊かに暮らせるんだよ」
俺さ、|家(うち)カミさんが豊穣神だとは知ってはいたけれど。加護にそんな効果があるとは初めて知ったから少々驚いた。
だからこんな感じで、お蝶さんに、「えっ? そうなの?」と、尋ねた。
「うん、そうだけど……。もしかして、魔王様は知らなかったの?」
と、逆に聞かれたから、「うん、知らない」と答えたよ。
でもね、確かに、今迄きた町や村等では、家のカミさんが、女神フレイヤだと述べて管理下に置くと述べたら。そこの住民達が歓喜の声を上げていた町や村もあったぐらいだからね。
その時は何故?
と、ぐらいしか思わなかったけれども。
今お蝶さんの話しを聞いて……成程と意味も解り納得が出来た。
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