第96話 何かしら付いてきました? (28)

 やっぱり俺は、無責任な事を述べる事も出来ないから。

「そうか」としか、答えられないから、彼女から目線をずらしたよ。

 するとさ、お蝶さん俺に、「じゃ、魔王様の奥さんてどんな人?」と、尋ねてきた。

 それを彼女から聞いた途端に『うぁ、ああああああっ! とうとう、きたぁ、ああああああっ!』と、叫びたい気分になったよ。


 彼女男が一番答えにくい言葉を尋ねてきたから。「えっ? うん、そうんだね」と、だけ答えたら。お蝶さん直ぐに「ん? 答えにくい?」と俺に尋ねてきた。

「えっ? いや、どう述べたら良いかな、うちのカミさんは?」

 俺がお蝶さんにそう答えると。

「綺麗な人?」と尋ねてきたから、俺は素直に「うん、綺麗だと言えば、かなり綺麗な女性かな」と、又彼女に答えた。


「う~ん、じゃ、私と奥さんどっちが綺麗?」


 こらまた、男が、答えずらい事を次から次へと、お蝶さんは尋ねてくるから困ったな? と、思ったよ。


 それに先程、何度も述べたけど、お蝶さんも俺から見ても十分過ぎるぐらい綺麗だしね。それこそ彼女自身が、俺にお持ち帰りしてくれと述べているから。本当は持って帰りたいぐら綺麗な女性なのだけれども。

 うちのカミさんは、あれだから……美と豊穣の女神フレイヤだからね。普通の人達とは全然違うんだよね。


 だから彼女にどう述べたら良いかと、悩んでしまうよ。


「……ん、言いずらい、魔王様?」


 するとさ、悩んでいる俺に、『クス』と笑いながらお蝶さんは、悪戯ぽく尋ねてきたから、俺は「うん」と、答えたのだが。今度は彼女苦笑いしながら。

「私も容姿の方はかなり自身がある方だけど。それでも言いずらいんだ?」

 と、尋ねてきた。「うっ、うん……」と、答えると。

「そうなんだ?」と言葉が返る。


「う~ん、というかね、お蝶さんは、十分過ぎるぐらい綺麗だと思うし、魅力的な女性だと、俺は思うよ。でもね、うちさん……まあ、奥さんだからカミさんと呼んではいるけれど。実際神なんだよ」


 俺ね、正直にね、答えたんだよ。でないとさ、フレイヤ本当にあの調子で割と嫉妬深いし、あとあとお蝶さんに迷惑を掛けるのも不味いと思うから。


「えっ、どういう事? 魔王様から見ての神というか、自分だけの女神様と言うやつじゃないの?」

「うぅん、違うんだよ。本物の女神様でね……」

「うっ、うそ?」

「うそ、じゃないよ。本当だよ……先程も述べたけど。この容姿はうちさんがしたんだよ」

「じゃ、さっきの話しは冗談ではなくて、本当だったんだ?」

「うん、そうだよ。だから怒ると割と怖い(笑)」


 まあ、こんな感じで、最後はお互いが苦笑いしながら、会話を続けたのだけど。

 何かね、お蝶さんの様子を見ていると先程よりも、更に俺に興味が沸いてきたような顔をしている気がするのだが?


 それは俺の『気のせいだろうか?』と、思わず考えたよ。

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