第63話 別の世界に逃避行? (15)

「……あなた、召喚の仕方が分かりませんか?」


「うん、実はね。よく分からないよ……」


 まあ、こんな感じで、うちのカミさんに。甘えながら俺は、闇の精霊達の召喚の仕方を尋ねているんだけどね。


 先程はさ、泣きに泣いたよ。二人で抱き合ってね。本当に悔しかったよ。色々な過去を多少なりとも走馬燈のように思い出せば出すほど。涙がこぼれて止まらなくなった。


 それで、二人──お互いの傷を慰め合う様に。交わりに交わったよ。特にフレイヤの主神オーディンやつの記憶と肌の感触を掻き消すように。俺の感触を何度も上乗せをしたよ。


 その後はね、少しばかり話しをした。


 余り良い話しではないが……。


 う~ん、でも、俺的には良い話しになるのかな?


 まあ、何とも複雑だけれどもね。とにかくカミさんの話しを聞いたよ。凄く真剣な顔をしているから。


「うん、どうした?」と、尋ねたよ。


 するとさ、うちのカミさんが直ぐに述べてきた。

「あのね、あなた?」

「うん」

「いい訳というか、信じるか、信じないかは、あなた次第ですけど……。わたくしあなたが家に帰らなくなった翌日から。聖地アースガルズを慌てて飛び出たので、それからは、他の異性とは、触れあってはいませんから」

 こう俺に述べてきたんだよ。

 だからね、俺は、「じゃ、先程、俺に何度も言ってくれた通り、本当に神話の時代から、俺だけを探してくれていたんだ?」と、述べ尋ねたんだ。


「はい、そうです……わたくしの愛してる殿方は、神話の時代から様、あなた只お一人なのですから……」


 俺のフレイヤはね、顔を薄っすらと赤面しながら答えてくれたよ。


 それがね、またさ、本当に可愛くて、又凝りもせずに、『ギュギュ』と、抱きしめた。

 それでさ、俺、少しというか……。かなり『ホッ』と、したし安堵もしたよ。だってさ、先程俺に、うちのカミさんが泣きながら話してくれた内容は、そんな遠いい昔の、昔話のようだから。

 取り敢えずは、俺自身は本気で嬉しかったから、嫌な話しと言えば、話しだし。良い話と言えば良い話だろう。


 だから俺は複雑だと答えたんだよね。


 と、まあ、そんな感じでね、話しはかなりずれたけれど。


 先程家のカミさんが、対アースガルズ戦略の一つとして提案をしてくれた。闇の精霊達の召喚なんだけれども。


 これがね、中々上手くいかなくて、俺は苦労をしている最中な訳なんだよ。

 だから家のカミさんに、『う~ん、出来ないよ。フレイヤ~、助けてよ~』と、いった感じで、甘えているんだ。『ゴロゴロニャ~ン! ゴロゴロニャ~ン!

 』と、これまたいった感じでね。


 するとさ、うちのカミさん、「ふむ……そうですか? 分かりませんか?」と、尋ねてきたから。


「うん、どうイメージしたら良いかも分からないし。出来れば教えてもらえると助かるよ、フレイヤ、スキスキ愛してるからさ」


 と、凝りもせずにのべたけど。実際は、先程も述べた通り、俺奥さまに召喚すれば良いと言われても。余り良くは分からないだ?


 だって俺自身、先程までは、人間ひとをしていた訳だから。要領が良く解らないんだよね。


 だからどうする?


 と、いった感じだけど、フレイヤを守ると俺自身が決めたのだから、何とかしないといけないと思うよ。


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