159 トシゾウ攻略研究会
ドキドキ。
「ほぇー」
「…ですね。ただトシ…一部の殿方は少々特殊で…。スイッチが入るとまるで人が変わったように逞しくなるのです。レベルが一気に上がったような感じといいましょうか。そうなってしまうとなすすべがありません」
「あ、それはトシ…殿方のスキルのせいですわね。ズルイですわ。アレをされてしまうとほとんど動けないままに…」
「なはは、そら力づくやとそうなるわな。相手は馬なみどころの話やない。せやから…」
「はい。○○○○です。そういう時はとにかく主導権を握り続けることが大切です。でもそれを殿方に悟られないように…」
「かーっ、トシゾウはんもやっぱり男やなぁ」
「ベルベットさん、殿方ですわ、殿方。あくまでも一般的な話です」
「ベルも経験豊富だよね。ボクと数年しか歳が違わないのにすごいなぁ」
「ええかさっちゃん、さっちゃんはまだ17歳やろ?女の子にとってここからの数年っちゅうのはとんでもなく重たいんやで」
「な、なるほど、書類仕事ばかりやってる場合じゃないね。政治は爺に任せてボクも…」
俄然やる気を漲らせるサティア。
王族とはいえ、この世界は人族同士で領土争いなどはしていない。
そのため一般にイメージされる王族のような、生まれた時から婚約者がいるなどということは少ない。
つまりサティアの努力次第では恋愛結婚の余地があるのである。
「うんうん、何事もやってみるもんやで。ウチも途中からは商いの実力一本で成り上がれたんやけど、やっぱり最初は色仕掛けが必要でなぁ。コネのない女が最初の仕事を任せられるためにはエサを与えて転がすんが一番や。使えるもんは何でも使う。釣りも商売もセックスも同じやな」
もにゅりと、そこそこ大きな胸の下で腕を組んで見せるベルベット。
強調された胸の上に、編み込まれた美しい赤髪がさらりと流れる。
その仕草は同性から見ても艶のあるものだった。
シオンとアイシャ以外の全員がベルベットの胸を凝視し、次いで自分の胸に目をやった。
各々の胸の大きさはともかく、その仕草は誰から見ても子供のそれであった。
「うふふ、色を売る商売でもそういった仕草は大切ですからね。話を続けましょうか。その後はトシ…殿方がどれほどの興奮状態であるかを調べて…時には特殊なお香なども用いるのですがトシ…殿方の中には効果の薄い方もいらっしゃいますので、そう言った場合はこう、〇〇を△△して…」
「うわぁ。まるで貴族の策略を聞いているようだよ…!」
「どの道も究めればなんとやらですわね。仕事人ですわ。先生とお呼びしてもよろしいでしょうか。良ければ特別顧問として我が領へ…」
軽く酔いも回り、身を乗り出すように話を聞く王女と領主。
「サティアとコレットは初心で素直じゃのう。飛ぶ鳥を落とす勢いの王女と領主だという噂だったのじゃが、どうやら妾の聞き間違いだったようなのじゃー」
「いやいや、それとこれとは別だよ。それでそれで?その後はいよいよ〇〇だよね。そこのところをもう少し詳しく…。コレットの実体験も交えて!アイシャだったらその状況をどうやってコントロールするの?」
「えぇ?サティア、さすがにそれは恥ずかしいですわ」
「あらあら」
「まぁまぁ、こういうのは勢いが大切やで。ほら、イッキイッキ。おっちゃんがちゃぁんと聞き出したるからな。まずはコレットはんのCの部分をじっくりと…」
トクトクとグラスに酒を注ぎながらコレットの耳元で囁くベルベット。
「はぐはぐ」
やんややんや。
この世界はトシゾウの住んでいた前世日本に比べ、性に寛容なのかもしれない。
年頃の少女と、若干名のおっさんが明け透けな会話で盛り上がる。
わいわいがやがやゲヘヘヘと。
料理に舌鼓を打ちながら明るい?空気が流れる。
普通なら接点もなさそうな面々だが、トシゾウに振り回されているという点で良くも悪くも彼女たちの境遇は同じであった。
共通の話題と美味しい食事は良好な関係を築くには格好の材料なのである。
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