されど月は島を想う

作者 コノハナサクヤ

57

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★★★ Excellent!!!

70を過ぎた老人ばかりの島で、島全体を飲み込むであろう噴火が目前と迫っていた。

老人ばかりというのと、噴火という単語で、地味な印象を抱いて読み始めたら、印象は180度変わりました。中編でありながらも、人間たちの強い絆と愛情が詰まった壮大なファンタジーです。

老人といえども、キーマンであるおばあちゃん、最高にかっこよく凛とした女性でもあり、素敵です。
そして不思議な魅力をもつエソトオの秘密や、この島に起こった五十年前の出来事、これらが解き明かされ一つになるとき、物語は大きく動きます。

読みやすいのに、どの話も濃く、後半に向けての盛り上がりはすばらしいです。
約4万字しかないので、少しの時間があればあっという間に読了できます。
この文字数で、スリルある脱出劇と最後の爽快感をぜひ味わってください。

★★★ Excellent!!!

噴火が間近に迫って、滅びゆく運命の島がありました。
島民の多くが老人と言うこの島で、少女ツバキナは必死になって、島の皆を助けたいと願いますが。大自然の驚異の前では、人間なんてちっぽけなものです。
島と運命を共にするしかないと、絶望漂うその時、50年前に島民達がとっていた行動が、奇跡を起こす?

現在と50年前。二つの時代の物語が描かれるこの作品。その両方に共通しているのが、『生きる』と言うこと。
生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた時の人間の強さと覚悟がよく描かれていて。最後の最後まで気が抜けない話運びには、ハラハラさせられました。

★★★ Excellent!!!

エィヌ島は本土から離れた所にある小さな火山島。この島は、間もなく起こる火山の噴火によって、消滅の危機に瀕していました。

本土からも見放され、現在島に住んでいるのは、ほとんどが年老いた人達ばかり。島を捨てて逃げるにしても、絶望的な状況です。そんな中、老人たちは若いツバキナとエソトオの二人だけでも逃がそうとしますが……

自分達だけ助かるべきか、それともみんなと一緒に島に残って死を選ぶか。どちらを選んでも、必ず後悔するであろう状況ですが、ツバキナは50年前この島で起こったある出来事に、最後の望みを抱きます。
果たして、島の人達に未来はあるのでしょうか?

危機的状況の中で、それでも懸命に出来る事を探し続ける人達に心打たれました。

★★★ Excellent!!!

今にも噴火しそうな、姨捨(おばすて)島と呼ばれる火山島。

老人ばかりの島を襲う未曾有の危機。懸命に村人たちをたすけようとする主人公の少女ツバキナ。そして、島で暮らしていた謎の青年エソトオの葛藤。

はたしてこの島で、五十年前に起きた出来事とは――。

神話のような幻想的な空気。
生々しくも力強い『人間』の姿。

1話1話さくさくと読みやすいのに、1話ごとにずしんと深く心にくいこんでくる。ひとつの、理想的な文章表現がここにあります。

脱出劇の緊迫感と壮大なファンタジーの融合が素晴らしい物語。ぜひ読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

 なんといっても主人公の少女に強く惹かれる。『風の谷のナウシカ(宮崎駿、二馬力、徳間書店、敬称略)』のナウシカを彷彿とさせる人類愛だった。
 見捨てられた老人達の気持ちも丁寧かつ綿密に描かれており、現実味を強く引き立てる。
 主人公と対になる少年の造形が、話の根本にまで繋がる構成がまた優れていた。
 誰でも読めて親しめる脱出小説(?)の傑作。

★★★ Excellent!!!

おばすて島と呼ばれる火山島は、今にも噴火しそうだった。

老人ばかりのこの島で、五十年前に起きた出来事とは……。

村人を守ろうとする一人の少女の必死な様と優しさ。
そして謎の青年……。

作者様の独特の世界観。
真に迫る火山噴火と脱出劇。
緊迫感とスリルのあるストーリー展開は、まるで映像を観ているよう。

壮大なファンタジーです。



★★★ Excellent!!!

月は地球から遠ざかりつつある。
そのことが、この物語誕生の遠因かもしれない。
危機的状況がどんどん深刻になってゆき、
つらくて悲しくてもう読んでいられない、けど読まずにいられない。
どんな結末が待っているのか。
ヒロインは意地でもあきらめない。
納得の結末。

★★★ Excellent!!!

様々な場面で魅せられました。
主人公の少女、ツバキナが住む島に大噴火が迫り、彼女と島民たちが脱出に奔走する大迫力なシーン。
そして、月昇人、というとても不思議で幻想的な存在がいる世界観がとても魅力的で美しい物語です。

舞台であるエィヌ島は、姨捨(おばすて)島とも呼ばれ、島民は老人ばかりです。救助も来ない中、皆を助けようと奔走するツバキナの覚悟。
島に住む、不思議な青年エソトオが向き合うもの。
そして、災害の末、島民たちが選択すること――彼らすべての生きざまに心を動かされます。

私が特に注目したのは、エソトオが葛藤する様々な苦しい想いです。
外から見ているだけではわからない感情、秘めている想い……それが辛くせつなくて……でも、そうだよね、と、ショックと共に納得ができて。
そんな彼がどのようにそれに向き合うのか、すごく興味を惹かれました。

この美しくも力強い物語、ぜひ読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

独特の世界設定と、作中を流れる雰囲気は、どこか神話を思わせます。
でもその中を生きているキャラクターたちは、人間そのものであり、童話のようにも感じられます。
そんな強いオリジナリティーを感じさせる作品です。

世界の片隅にひっそりと存在する老人ばかりの小さな貧しい島。
そこに火山の噴火という未曽有の危機が訪れます。
この極限状態の描写がまた真に迫って迫力があります。

この危機に村人を救おうと奔走する『ツバキナ』という少女。
誰にとっても孫娘のようなこの少女の必死さ、優しさがなんとも胸を打ちます。

さらに登場する『エソトオ』という謎の青年。
どこか異質さを感じさせる彼には重大な秘密があります。
そして彼の抱える秘密が明らかになり、濃密なファンタジーの世界が、この物語を包み込んでいきます。

いよいよ火山の爆発が勢いを増し、村人が逃げ場を失ったとき、古の伝説が姿を現し……
というこれまたワクワクがいっぱいの展開へとつながっていきます。

とにかく読ませる文章表現、続きが気になる構成、神話を絡めたような独特の雰囲気。
読みやすいけれど、なんとも読み応えのある物語。
そして最後の最後まで面白い作品でした!