第77.5(?)話 決闘者のフレンズ


※注意事項※

完全に趣味回です。置いてけぼりになると思いますが、『大丈夫だ、問題ない』という人は、何卒よろしくお願いいたします



















「ん~…右かな?」

「待って、その道はまず左」

「左ね…って、行き止まりじゃないか」

「ここには隠し宝箱があるんだよ。ほら」


ピロリン♪


「おお~…流石だね」

「ゲームならコウより上手いからね」

「ほほう…テトリスで負けたのに言うじゃん」

「むっ、他のなら負けないんだよ。次はこれで勝負だよ!」

「いいだろう!受けて立つ!」


おっす!オラはコウ!スーパージャパリ人!…というおふざけは置いといて…


今日は朝からゲームコーナー。ご飯はちゃんと作りましたよ?油揚げの味噌汁、卵焼き、焼き魚(鮭)。ザ・和食!俺は大好きです!


起きたら誰かが潜り込んでいた、なんてことはなく普通に起きました。そんなこと二度もあってたまるかってね。…元気にしてるかな、あの子は


で、食べ終わったのでキタキツネさんとゲーム中。他の子達は温泉…いわゆる朝風呂。ハマったのかな?


勿論一緒には入れないので一人でゲームをしていたらキタキツネさんが来た。俺の相手をする為に来た、と言ってくれたが、逃げてきただけかもしれない。それに、今は俺が相手をしているような感じだしね


「残念だけど、これで終わりだ!」


「ああっ!?耐えてコケコ!」


効果は抜群だ!コケコは倒れた!


「種族値130から放たれる抜群一致鉢巻地震は流石に無理だったようだな!」


「ぐぐぐ…元主人公にやられるなんて…!」


「一人じゃ無理でも、皆とならまだまだいけるんだぜ?」


とは言ったものの信じられない。まさかレーの守り神『ガブ・リアス』がここまで落ちぶれているなんて…。なんだよこの空飛んでるおっさんとヌイグルミは?くっそ強いんだけど。俺がこのゲームから離れてる間に何があった?


「…っと、一旦休憩しよっか?」


結構長い時間やってる気がする。何戦くらいやったかな?俺のガブは何回地震を撃っただろうか?


「待って…!このまま終わるなんてボクのプライドが許さない…!」


いや、悔しいのは分かるけどやり過ぎは良くない。目は疲れるし集中力も落ちる。何よりギンギツネさんに怒られそうだ


「次やったら休憩するから!いいでしょ…?ね?」


うっ…なんて眼をしているんだ、うるうるした上目遣いで見てくるとか妹力高すぎる…。ギンギツネさんは普段これにやられているんだな…。とか言ったらどんな反応するかな?なんてね


「ダメ…?」


「…はぁ、仕方ない。一回だけだよ?」


「よし!こっちだよ!」


急に元気になりおったでこの子。予測可能回避不可能。俺も中々甘い男だと思う。けど、ゲームは友達とやるともっと楽しくなるのは俺も知っている。だから、断るのも悪いかなってね


「…で、何で勝負するの?」


「これだよ。コウが絶対にビックリするゲーム」


「ハッ!どんなのが来たって────!?」


目の前にあるのは、一見するとただのテーブル。しかし、キタキツネさんが腕につけた物に紙(?)をセットすると、テーブルに小さな魔物が立体映像で浮かび上がった


こ…これは、まさか!?



「そう、これはコウが持っていたカード本のシミュレーションゲーム、通称『VRDMバーチャルディスクモンスター』!」



「バカな!?そんなものが何故ここに!?いや名前ちょっと違うけど!」


「キュウビキツネが直したんだよ。というかここにあるゲームの殆どはつい最近復旧したんだ」


すげぇなキュウビキツネさん、修理も出来るのか。いやその前にこの技術が現実になっているなんて…


それと、薄々そうかな?と思っていたけど、やっぱりそうなのか


俺が過ごしてきた世界にあったものは、ジャパリパーク、正確にはこの世界にもある…ものもある、ということ。ここにあるゲームがその証拠だ。少し名前を変えているやつもあるけど…外では同じかもしれない。何より内容が同じなのだ


しかしジャパリパークのゲーム選びの基準が分からん…。各メーカーの有名所全部引っ張ってきてるのか?フレンズとか子供の教育に絶対悪いだろ


「コウがこれのことが大好きなのは知ってる。どう?ワクワクしない?」


くそっ…!こんなもの、ワクワクしないわけないだろ!だがまだ問題はある…。それを解決ないと…


「ルールは分かるの?」


「大丈夫。文字は読めるし、難しいことは勝手にやってくれるし」


マジでアニメみたいだ。最高だぜキタキツネさん!一回と言わず満足するまで付き合ってやるよぉ!


「その顔…どうやらヤル気みたいだね?なら、せっかくだからこんな感じでやってみない?」


「これは…。いいよ、盛り上がるだろうし、このゲームを教えてくれたお礼だ!」


「なら早速!」





───




「どう?朝に入る温泉も新鮮でしょ?」

「はい!眠気もとれていいですね!」

「温かくてやみつきになりそうだ」


廊下を歩くのはギンギツネ、ジェーン、キングコブラ。三人は温泉からあがったばかりなのか、体から湯気が出ていて髪も少し濡れている


「キタキツネは結局来なかったな」

「あの子、コウに負けてから『修行だよ』って言ってゲームばっかりなのよ…」

「あはは…。完敗でしたからね…」


テトリスでコウに挑んだ結果、完膚なきまでにやられたキタキツネ。それから色々なゲームで挑み続け、ライバルと呼ぶくらいには勝ち負けを繰り返している


「掃除くらいは手伝ってほしいわ…」

「お願いしてみてはどうですか?」

「呼びに行くついでにいいかもしれんな」

「そうね…。それに、コウを一人占めさせるのも…ね?」


ニマニマと笑みを浮かべるギンギツネに、二人は少し顔を赤くして顔をそらす。今旅館にいるフレンズで、二人の想いを知らない子はいないのだ


「フフッ、ごめんなさい。でも温泉も入ったことだし誘ってみたらどう?」

「そうだな。一緒に旅館を廻りたい」

「そうですね。せっかくここにいるんですから」


お互いに相手に会う目的が出来たので、二人がいるであろうゲームコーナーに入る。すると、案の定中から声がしたので二人の元へ向かう


三人の瞳に入ってきたのは──



『フハハハ!我に挑むとは!余程ギンギツネが大切か!?』


「そうだよ…。ギンギツネはボクの大切な家族!だからボクは負けない!ボクは必ず、ギンギツネを取り戻す!」


『いいだろう!ならばいくぞ!』


『「デュエル!!!」』



──やたらテンションの高い二人だった



『先攻は我だ!我は手札からこいつを発動!さぁこの5枚の中から1枚を選ぶがいい!どれを選んでも貴様にとっては苦渋だろうがなぁ!』


「っ…!…ならボクは…真ん中を選ぶよ」


『こいつか。結果は変わらんがな。先ずはハンデス3連打!そして墓場の魔術師を蘇生!回収!蘇生!回収!召喚!回収!更にハンデス!これでエンドォ!』


「嘘…1ターンで、手札が全部なくなった…!?」


『さて貴様の番だ…。ドローカード1枚で何が出来るのかなぁ?』


「ドロー…!っ…ダメだ…これじゃ時間稼ぎにしか…。セットしてターンエンド…」


『フハハハ!何も出来ないか!ドロー!おっと…?これでそのカードを破壊だ!』


「なっ…!?」バリィン!


『そしてこのカードで黒の魔術師2体を隙間から呼び出し、全員で攻撃!』


「そんな…うわああああぁぁぁぁ!?!?」



winner is コウ!



『ハッ…大口叩いたわりにはこの程度か…。興醒めだ…』


「まだ…終わってない…!」


『ほう?まだ立ち上がるか…!』


「三回勝負だからね!いくよ!」



──

三人は呆然としていた。何故なら、目の前の光景はとても理解出来るものではなかったからだ


今までのどの時よりもテンションの高い、初めて見るコウの姿に、ジェーンとキングコブラは一瞬呼吸さえ忘れてしまうくらいの衝撃を受ける。この人は本当に彼なのか?と


ギンギツネに関しては頭を抱えている。繰り広げられてるゲームを見て、テンションが高い理由は理解したのでそれに対する驚きは少ない。しかし勝手に自分がやられている設定に驚いていた


「なんだ、これは…?」

「私も分かりません…」

「…やっぱり、コウは知っていたのね」

「何か分かったのか?」


ギンギツネが二人にゲームの説明をする。といっても二人はルールなんて微塵も理解出来なかった。分かったのは、彼がこのゲームが大好きだということ


そんな解説中をしている間にも、二戦目は終了しようとしていた



「ボクのターン!ストームカウント開始!先ずはお坊さんを寝かせて…乙女を出してパワーアップ!連動して伝説の白き龍降臨!お坊さんを起こして全員で攻撃!書物加えてエンドだよ!」


『ドロー…!くっ…クソガアアアァァァァ!その坊主さえいなけりゃ…!』


「何も出来ないみたいだね!ならボクのターン!全員で攻撃!」


『グオオオオオォォォ!?!?』



winner is キタキツネ!



「これでイーブンだね…。次で決着をつける!」


『…フフフ、ハハハハ!まさかここまで出来るとは嬉しい誤算だ!貴様に敬意を表し、全力で叩き潰してやろう!』




──

「駄目だ、全く分からん…」

「色々してる…としか…」

「理解しなくていいと思うわよ…。何か飲む?」


三人は厨房に移動する。果物ジュースや水、お茶などもあったが、三人とも牛乳にするようだ。ついでに二人に差し入れするのかリンゴジュースを手に持っている


「本当においしいですよね、この飲み物」

「『コーヒー牛乳』っていうのもあるのよ?」

「ほう…?次はそれにするか」


瓶の蓋をとってチビチビと飲み始め、二人の元に戻る。すると三戦目が早くも終わろうとしていた



『これでお前の未来はない。終わりだな』


「そんな…手札もない上にドローも出来ないなんて…」



winner is コウ!




──

「…あの、これは本当に友達とやるゲームなんですか?」

「友情に亀裂が入りそうだな…」


二人がそう思うのも無理はない。彼女達が見たのは、キタキツネが何も出来ない状態で、コウがカラスでずっと攻撃している一方的な戦術。正直ドン引きである


『ククク…これでギンギツネもろとも終わりだ』


「ごめん…ギンギツネ…。ボク…」


そのセリフにギンギツネはハッとした。演技とはいえ自分が勝手にやられているという設定に、少しムッとしたので声をかける


「気はすんだかしら?」


「『あっ…』」


『ゴゴゴゴ…!』と聞こえてきそうなくらいの怖い笑顔。ニコニコしてる彼女に恐怖を感じた二人は、目を合わせ、そして思い付いた



「ギンギツネ…!?無事だったんだね!?」

『バカな…!どうやってここまで!?』



まさかの演技続行である。勢いに任せてしまったが後戻りなんて出来ない。巻き込むことでなあなあにしようとしていた。勿論終わった時のセリフも考えている



「…そう、私はここまでたどり着いた。貴方を倒すためにね!」



意外にも乗ってきたギンギツネ。これはいける!と意気込むコウとキタキツネ。それが罠と気づいたジェーンとキングコブラ


別の機械を腕に装着し、コウと向き合い、戦闘体勢をとる


『やってみるがいい小娘よ!貴様も直ぐにこうなるのだ!』


「やってやるわ!覚悟しなさい!」


お互いにカードを引く。コウは手札を見て笑みを浮かべ確信した。『オイオイこれじゃ…ミーの勝ちじゃないか…!』と←フラグ


「私のターン!」


ギンギツネはキタキツネほど強くない、と考えていたコウ。次のターンは確実に回ってくるだろうから、必殺のコンボで倒してやろうと意気込んでいた


しかし、ギンギツネが取った戦術は──



「これで終わりよ!喰らいなさい!必殺のドラゴンバーンコンボ!」


『バカな…うわあああああ!?!?』



──本物の、先攻ワンターンキルだった



手札1枚から生まれる殺意の塊。実際に出来るとはいえ、本当にしてきた彼女にコウは戦慄し、キタキツネは唖然としている。コウは初期ライフが全て刈り取られ、その衝撃で吹っ飛ばされた←イメージです


それを見たジェーンとキングコブラもあんぐりしている。普段の彼女からは考えられない行動。オイナリサマは一体何を教えていたのだろうか









「…どう?二人とも満足した?」


「「はい…」」


「それは上々」


テンションが元に戻った二人。それを見たギンギツネも落ち着きを取り戻した


「キタキツネ、お掃除手伝ってくれない?」


「ええ~…?」


「終わったらゲーム一緒にするから」


「ホント!?やる!」


「ええ。決まりね。先ずは玄関からやるわよ」


二人で仲良くゲームコーナーを出ていった。キタキツネさん凄く嬉しそう。図書館で会った時にも思ったけど、本当にギンギツネさんに懐いてるな


さて、久々に熱くなった。…熱くなりすぎたようだ。だって二人がいるの全然気づかなかったもん。いつから見てたんだろ?めっちゃ恥ずかしいぞ…


「やぁ二人とも、どうしたんだい?」


普段通りに接してみよう。反応でどこから見てたか分かるはず。頼む、そんなに見てないでくれ


「…今から旅館を廻るんだが、お前もどうだ?」

「…解説をお願いしたいな、と思いまして」


あっ、二人とも顔をそらしてる。これ絶対最初から見られてたやつだ。引かれてる反応だ。もうやだ消えたい


「…行くよ。先ずは何処にしようか?」


けど誘ってくれたんだ、ここは気持ちを押さえて楽しみましょうかね


貰ったリンゴジュースを一本持ち、俺は二人と一緒にゲームコーナーを後にした


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